前半がスタジオ、後半がライブ音源。
編成はgt,tpx1,reedsx3,french hornx1,tubax1,bass,drs,vib,strings quartet
非常に興味深い編成。
特にピアノレスでそのかわりにヴィブラホーンが入っているのが特徴的。
まだまだこういった編成はポピュラーにならないが、とても興味深い編成で自分も比較的昔からこちらのほうにベクトルが向いている。
それはギルエバンスが好きだから当たり前といえば当たり前か?
ビッグバンドのような普通の「足し算」の発想でないところが編曲家として新たなサウンドの可能性を感じる。
この作品でもギルの作品を取り上げている。
彼にしてもギルゴールドスタインにしても僕にしてもギルエバンスに多大な影響を受けているのはサウンドを聞けば一目瞭然。
ギルエバンスは生涯、ビジネス面においては不遇だったがヴィンスやギルゴールドスタインは比較的彼らのキャリアの早い時期からビッグビズネスのチャンスを掴んだ。
彼らの凄いところは、いわゆる伝統的なこのと新しいものが常に混在していることだ。
肝心の、このアルバムの内容は、とにかくすばらしいの一言に尽きる。
この編成で十分シンフォニックなアプローチも出来るし、コンボのようなフレキシビリティに優れたサウンドも出すことにも成功している。
これはスコア以上に演奏者の高いスキルに寄るものが大きいと思う。
このプロジェクトはヨーロッパのレーベル「ACT」の制作によるもので
ミュージシャンもピーターアースキン以外はヨーロッパのプレイヤーなので、サウンド感もヨーロピアンな上品なものも加わっている。
しかし、精神的に疲れているときには聞くのがちょっとしんどいかも。
これと同じような印象を持ったのはビルエバンスやラヴェルだった。
いずれも大好きな音楽家なのに精神的なスタミナのない時、僕は聞けなかった。
これは、彼らの音楽が「引っかかり」が多いからだと思う。
いわゆる「印象派」に属するもの。
あと、フリーっぽいものも疲れている時はしんどい。
いずれにしても本作も素晴らしくて大好きなアルバムでした。
ファンレターメールを彼にしてみようと思いました。