それはアントニオカルロスジョビンの音楽監督でありチェリストのJaques Marelenbaumがアレンジをしているからに他ならない。通常のビッグバンド編成でありなが出ているサウンドはオーケストラっぽいのだ。つまりオーケストレーションがビッグバンドのベイシックなアレンジ法というよりは弦楽器と木管楽器との室内楽に近い手法をとっているような印象だ。それは彼が弦楽器奏者だからなのかもしれない。
それがビッグバンドという使い古された固定の編成の可能性を広げるここにもなっているような気がする。だから面白いし興味深い。
またドラムキットが支配していないという点も大きく起因している。曲も6/8拍子が非常に多くポリリズム的なリズムの中での管楽器のアプローチも個性的だ。
和声的にもあまりジャズっぽくないもののテンションコードを多分に含んでいる。場合によってはシリアスなサウンドになってしまいそうなボイシングにも関わらず難しく聴こえず、神経質にはならず明るくて開放的なサウンドになっているのはOmarを含めたリズムセクションがアフロキューバンで、ジャキスがブラジリアンであることが大いに関係していると思う。