村田陽一オーケストラ
1 リズム・ア・ニング (セロニアス・モンク)
2 エヴィデンス (セロニアス・モンク)
3 ブルース・コノテーション (オーネット・コールマン)
4 オール・ブルース (マイルス・デイヴィス)
5 ラ・パシオナリア (チャーリー・ヘイデン)
6 ブギー・ストップ・シャッフル (チャールズ・ミンガス)
7 プラ・ヂゼール・アデウス (エドゥ・ロボ - トルクァート・ネト)
-----------村田陽一による解説
1 リズム・ア・ニング (セロニアス・モンク)
いわゆるリズムチェンジの代表的な曲。
この曲は管楽器と打楽器だけの演奏。
管楽器を中心としたコレクティブインプロヴィゼーションを沢山散りばめたアレンジ。
後半の管楽器によるソリは「Oleo」でのマイルス・デイヴィスの有名なアドリブソロをハーモナイズしたもの。
2 エヴィデンス (セロニアス・モンク)
リズム楽器はFunkビートにコード進行を拡大解釈によりシンプルに演奏、そのテンポと無関係なテンポで本来のコード進行を周到した管楽器のアンサンブルがのる。
つまりテーマの部分では同時に無関係なテンポのものが二つ共存している。
[solo1: 村田陽一 (tb) / solo2: 松島啓之 (tp)]
3 ブルース・コノテーション (オーネット・コールマン)
リフがトリッキーなBbのブルース。
ソリストの後のセクションはブルースの枠を保ちつつも半音進行を使ったギル・エヴァンス的なアプローチ。
[solo1: 奥村 晶 (tp) / solo2: 竹野昌邦 (ts)]
4 オール・ブルース (マイルス・デイヴィス)
プレリュードは新たに私が作曲したもの。
テーマの2コーラス目はアッパーストラクチャー上に出来る音程を使う事で全音上のキーでのメロディが元調のコードの上に乗り、サイズもの通常の12小節から伸びている。
また、テーマの後半は3拍子の上に2拍子のハードロック的なフレーズがのる。
[solo1: 津上研太 (as) / solo2: 松島啓之 (tp)]
5 ラ・パシオナリア (チャーリー・ヘイデン)
途中のアルトサックスによるフリーフォームによるインプロビゼーションでの背景にある管楽器のコラージュもあらかじめ用意されたフレーズではなく、ソリストのアプローチに即したフリーバッキングのバランスに注意を払った曲。
[solo1: 納 浩一 (b) / solo2: 津上研太 (as)]
6 ブギー・ストップ・シャッフル (チャールズ・ミンガス)
ギル・エヴァンスオーケストラでもよく取り上げられていたマイナーブルースの曲。
アドリブソロを挟む部分でのリフはフーガ風で、結果的にメロディが1拍ずつズレていくようなコラージュになっている。
[solo1: 津上研太 (as) / solo2: 村田陽一 (tb) / solo3: 青木タイセイ (tb) / solo4: 松島啓之 (tp)]
7 プラ・ヂゼール・アデウス (エドゥ・ロボ - トルクァート・ネト)
本作で唯一ジャズミュージシャンによる作曲でない曲。
エリスレジーナの名唱で有名なこの曲は出来るだけ管楽器のアンサンブルの分量を抑えて演奏のダイナミックレンジを意識してアレンジした。
[solo1: 村田陽一 (tb)]
-----------村田陽一オーケストラ
1993 年3月に、新宿Pit inn主催による『Tribute to Gil Evans』のイベントのために村田陽一が新宿Pit innにゆかりのある同世代のミュージシャンを集め結成。結成当時は「マンデーナイトオーケストラ」という名前でGil Evansのレパートリーを中心にそのリアレンジなどもしながら活動していた。その後、村田陽一・オリジナル楽曲のレパートリーが増えるとともにバンド名を「村田陽一オーケストラ」に変更し現在に至る。メンバーのほとんどは、'80 年代、まだ新宿Pit innが紀伊国屋書店裏にあった頃一緒に演奏していた仲間達である。'90年代から様々なフィールドで活躍するようになったメンバー達がつくるサウンドは 『Jazz』という一つのジャンルにカテゴライズされたものではなく、様々なエッセンスがミクスチャーされたオリジナル・サウンド。オーケストラといってもビッグバンドのような編成ではなく管楽器は2トランペット、2トロンボーン、3サキソフォンであり、オプショナルでフレンチホルンやチューバが入ることもある。アレンジされた譜面を使って演奏するが、即興的に各プレイヤーがアプローチするという場面もあり、それによって極めてフレキシビリティに富んだサウンドをつくり出している。新宿Pit innを中心に活動をしてきた“Live Band”であり、今回はその記念すべき1stレコーディング。当然のことながらレコーディングもLive同様アンサンブル・ソロなどすべてが同時録音された。尚、リーダーの村田陽一はTbの演奏はもとより作曲・編曲の他にキーボードも演奏。オーケストラのアンサンブルにさらなる深みを与えている。
-----------YOICHI MURATA ORCHESTRA
Formed in March 1993, by Yohichi Murata, for a Shinjuku Pit Inn’s event “Tribute to Gil Evans” with his contemporary musicians closely associated with the club. In the first years from their birth they called themselves Monday Night Orchestra, playing mostly their re-arrangements of Gil Evans related compositions. They gradually started to build their own original repertoire written by Murata and changed the name to Yohichi Murata Orchestra. The members of the orchestra are all colleagues since the ‘80s when the Shinjuku Pit Inn was a jazz hive in the back street of the Kinokuniya bookstore. As each of them went on to play various kinds of music in the ‘90s, the sound of the orchestra has inevitably developed into a highly mixed individual sound that goes beyond the category of jazz.
Not being a typical big band, the orchestra has 2 trumpets, 2 trombones, and 3 saxophones in the brass section, with occasional addition of a French horn or a tuba. They play mostly from notated arrangements, but there are moments of spontaneous improvisation that gives the sound of the orchestra full flexibility.
This is the monumental first recording of a “live” band that has played around the Shinjuku Pitt Inn for many years. Very naturally this is an all-live recording. Leader/composer/arranger/trombonist Yohichi Murata plays keyboards also to add yet another depth to the ensemble.
スタンダーズ:
村田陽一は、最もポピュラーなスタンダードを再構築し我が物にするという難題をやってのけた。
その編曲は奔放で示唆に富み、私たちのこれらの曲に対する考え方を変えた。演奏もまたその編曲のもつ創造性に合致している。ギル・エバンスの長い歴史が大きく投影されたこれらの曲は、その音楽遺産を知り愛する者たちに記憶を呼び起こす。
僕に始まるすべての人に音楽を分けてくれたことを感謝する。
ギル・ゴールドスタイン
小山さち子訳
STANDARDS:
Yoichi Murata has achieved the difficult job of reinventing the most popular jazz standards and making them his own. The writing is significant and broad and he has changed the way we think about these songs. The playing also matches the creativity of the writing. A long history of the great Gil Evan's looms large over these pieces and brings back memories to all who know and love that musical heritage.
Thanks for sharing your music with me and everyone else,
Best, Gil Goldstein