村田陽一オーケストラ
1 ア・チェンジ・オブ・カラーズ (村田陽一)
2 ヴァスト・コンティネント (村田陽一)
3 コラージュ (村田陽一)
4 ダブル・クラッチ (村田陽一)
5 バッスル・アンド・サイレンス (村田陽一)
6 ウォーキン・アラウンド・ザ・“K” (三好功郎)
7 ザ・パドルズ (村田陽一)
-----------村田陽一による解説
1 ア・チェンジ・オブ・カラーズ (村田陽一)
2005年にユーフォニアム・チューバカルテットの為に作曲した曲。
のちに吹奏楽、自己のバンド「Hook Up」(*1), トロンボーンカルテット「4 Bone Lines」(*2)でも別のアレンジで演奏している。
[solo1: 村田陽一 (tb) / solo2: 山本拓夫 (bs)]
2 ヴァスト・コンティネント (村田陽一)
このオーケストラの為に2005年に作曲した6/8拍子の曲。
出来るだけソリストの自由度を高める為に和音は転調が多いもののオーケストレーションは比較的シンプルなものにした。
[solo1: 竹野昌邦 (ts) / solo2: 村田陽一 (tb) / solo3: 岡部洋一 (perc)]
3 コラージュ (村田陽一)
ブラジリアンフィールの曲。
リフの後半は3/4拍子と2/4拍子の仕掛けがある。
冒頭部はレコーディング時に思いついて作ったもの。
[solo1: 山本拓夫 (fl) / solo2: 村田陽一 (tb)]
4 ダブル・クラッチ (村田陽一)
2007年に作曲したFunk曲。
本来は「Hook Up」の為に作曲した曲だが、レコーディング当日になってオーケストラ用にアレンジ。
あくまでもフロントのトロンボーンとテナーサックスの2管を前面に押し出し、他の管楽器を背後に回すようなアレンジをする事で大編成特有の重さを回避した。
[solo1: 山本拓夫 (bs) / solo2: 村田陽一 (tb) / solo3: 三好功郎 (g)]
5 バッスル・アンド・サイレンス (村田陽一)
2007年に作曲したハバネラ、タンゴ風の曲。
フレンチホルンやチューバを導入する事でよりいっそう、シンフォニック且つ「土臭さ」が強調された。
私は大編成のジャズアンサンブルをやるにあたり最も影響を受けていたのはギル・エヴァンスだが、カーラ・ブレイの曲・アレンジも大好きで、この曲はカーラの影響が色濃く出ているかもしれない。
[solo1: 三好功郎 (g)]
6 ウォーキン・アラウンド・ザ・“K” (三好功郎)
本アルバム唯一私の作曲ではない曲。メンバー、三好功郎のオリジナル曲。
疾走する前半部のリフとレイドバックするシャッフルの対比が面白い。
彼がコンボスタイルでこの曲を演奏する時のイメージを壊さないよう注意を払いながらアレンジした。
[solo1: 青木タイセイ (tb) / solo2: 三好功郎 (g)]
7 ザ・パドルズ (村田陽一)
2002年作曲。
シンプルなメロディにテンションノートを奇麗に連結することに終始してアレンジした。
普通に聞くと耳馴染みがよく、実際よく聞いてみると複雑な構造をもっている曲というのが、ある意味で自分の理想型だ。
[solo1: 納 浩一 (b) / solo2: 村田陽一 (tb)]
(*1) Trombone, Kb, 2Gt, Bs, Drの6ピースのバンド。Funkを基調とし村田のオリジナル曲を中心に演奏。
(*2) トロンボーン4人編成のカルテット。メンバーは村田を除く3名はクラシックのオーケストラプレイヤー。
-----------村田陽一オーケストラ
1993 年3月に、新宿Pit inn主催による『Tribute to Gil Evans』のイベントのために村田陽一が新宿Pit innにゆかりのある同世代のミュージシャンを集め結成。結成当時は「マンデーナイトオーケストラ」という名前でGil Evansのレパートリーを中心にそのリアレンジなどもしながら活動していた。その後、村田陽一・オリジナル楽曲のレパートリーが増えるとともにバンド名を「村田陽一オーケストラ」に変更し現在に至る。メンバーのほとんどは、'80 年代、まだ新宿Pit innが紀伊国屋書店裏にあった頃一緒に演奏していた仲間達である。'90年代から様々なフィールドで活躍するようになったメンバー達がつくるサウンドは 『Jazz』という一つのジャンルにカテゴライズされたものではなく、様々なエッセンスがミクスチャーされたオリジナル・サウンド。オーケストラといってもビッグバンドのような編成ではなく管楽器は2トランペット、2トロンボーン、3サキソフォンであり、オプショナルでフレンチホルンやチューバが入ることもある。アレンジされた譜面を使って演奏するが、即興的に各プレイヤーがアプローチするという場面もあり、それによって極めてフレキシビリティに富んだサウンドをつくり出している。新宿Pit innを中心に活動をしてきた“Live Band”であり、今回はその記念すべき1stレコーディング。当然のことながらレコーディングもLive同様アンサンブル・ソロなどすべてが同時録音された。尚、リーダーの村田陽一はTbの演奏はもとより作曲・編曲の他にキーボードも演奏。オーケストラのアンサンブルにさらなる深みを与えている。
-----------YOICHI MURATA ORCHESTRA
Formed in March 1993, by Yohichi Murata, for a Shinjuku Pit Inn’s event “Tribute to Gil Evans” with his contemporary musicians closely associated with the club. In the first years from their birth they called themselves Monday Night Orchestra, playing mostly their re-arrangements of Gil Evans related compositions. They gradually started to build their own original repertoire written by Murata and changed the name to Yohichi Murata Orchestra. The members of the orchestra are all colleagues since the ‘80s when the Shinjuku Pit Inn was a jazz hive in the back street of the Kinokuniya bookstore. As each of them went on to play various kinds of music in the ‘90s, the sound of the orchestra has inevitably developed into a highly mixed individual sound that goes beyond the category of jazz.
Not being a typical big band, the orchestra has 2 trumpets, 2 trombones, and 3 saxophones in the brass section, with occasional addition of a French horn or a tuba. They play mostly from notated arrangements, but there are moments of spontaneous improvisation that gives the sound of the orchestra full flexibility.
This is the monumental first recording of a “live” band that has played around the Shinjuku Pitt Inn for many years. Very naturally this is an all-live recording. Leader/composer/arranger/trombonist Yohichi Murata plays keyboards also to add yet another depth to the ensemble.
コンポジションズ:
他方、村田陽一は、偉大なジャズのオーケストラに私たちが望みかつ惹かれるものすべてを差し出してくれるオリジナルの楽曲を創り上げた。これは色彩と情趣のコラージュであると同時に、音楽世界の広大な大陸どうしをつなぐ橋である。演奏から編曲まで、終始緩みはない。
才能と技の冴えは原則。彼の設定した水準は高い。
僕に始まるすべての人に音楽を分けてくれたことを感謝する。
ギル・ゴールドスタイン
小山さち子訳
COMPOSITIONS:
On the other side, Yoichi creates original compositions which bring everything we've come to expect and love from the great jazz orchestras. It is a collage of colors, moods, and bridges the vast continents of the musical world. From playing to writing, there is no let-up start to finish.
Brilliance and virtuosity is the rule and he sets a high standard.
Thanks for sharing your music with me and everyone else,
Best, Gil Goldstein