1995年録音 32歳の時の作品。
カミソリのイラストのまさしく「ソリッド」はサウンドに仕上がっている。
このアルバムから、完全に「Solid Brass」編成になり、自分としても、このメンバー、編成に関して
ある程度「やり方」が見えてきた作品でもある。
レコーディングメンバーは
村田陽一(tb)
エリックミヤシロ(tp)
西村浩二(tp)
本田雅人(reeds)
竹野昌邦(reeds)
山本拓夫(reeds)
淵野繁雄(reeds)
佐藤潔(tuba)
村上ポンタ秀一(drs)
David Sanborn(as)
このアルバムの直前にニューヨークにてブラスカンファレンスに招聘され、その際、スイートベイジルにでSolid Brassとして
演奏した。
実はこの手のカンファレンスは招待はするのの、交通費、滞在費は一切支給されずすべて自己負担となる。
たいていの場合は楽器メーカーなどがスポンサーとなりサポートすることがほとんど。
当時、そういったメーカーとの付き合いもなく、メンバーみんなそれぞれが異なるメーカーの楽器を使っていたこともあり、
そういう援助がなく、また僕としてもそれを望まなかった。
で、どうしたか。。。。。。。。。
「みんな、とりあえず現地集合現地解散ということで、来れる人は来てね」っていったらメンバー全員が自己負担で付き合ってくれた。(ポンタさんも自腹だったのだ。)
おまけに山弦の2人も合流。
ブラスカンファレンス自体は実は僕は余り興味がなく、それよりはスイートベイジルに出演出来ることだった。
この店は僕が敬愛してやまない編曲家ギルエバンスが毎週月曜「マンデイナイトオーケストラ」というバンドを主宰し演奏していた場所だ。
彼にとって実験の場でもあるホームグランドだった、この場所で演奏出来るなんで願ってもないチャンスだった。
実際、彼が弾いていたというピアノを触って妙に感動したことを覚えてる。
店自体、非常に狭い所で、よくこのスペースでこの人数のオーケストラをやっていたんだなぁと思った。
実際、ギターのハイラムブロックはトイレに向かう為の通路で演奏していたそうだ。
このアルバムのジャケットに写っているトロンボーンはビンテージのBach 16というモデルで、カンファレンス内で出店していた楽器屋さんのブースに1000ドルで売っていた。
これを同行したチュ−バの潔さんに相談したら、「買いなよ」って即答。
はい、早速買いました。
当時まだ、円高だったので随分お得な買い物でした。
このアルバムは、まだコーンのベルにキングのスライドという組み合わせで全曲レコーディングしている。
カンファレンスでのその楽器を使用しているが、購入したその数日後にあったスイートベージルでは、もうNYバックを使用している。
ここから当分、このNYバック16と11Cというマウスピースの組み合わせが続くことになる。
このアルバムのリリース後に「Solid Brass」としてTV出演が数本あり、それによってこのバンドの認知度が上がる。
しかし、商売っ気のない僕はその後映像媒体にあまり「Solid Brass」として出演しないスタンスをとる。
それはメンバーに十分なTVだとギャランティを支払えない状況だったので、それは嫌だったのだ。
基本メンバーが揃わなければ「Solid Brass」を名乗りたくなかったということもある。
ここ6、7年間の間に知り合った現在30歳前後の管楽器のプロの子たちと話をする度に、このアルバムを学生の頃に聞いていたりライブにきていたということを聞いて非常に嬉しい。