2008年02月06日

TIGHTNESS その弐

内田春菊さんのイラストによるジャケットは、当時かなり斬新。

春菊さんとはボクが23歳くらいからの知り合いなので、もう20年以上前からのおつきあいということになります。

でも、随分ご無沙汰していて、このアルバムを作るにあたってジャケットはイラストでというデザイナーさんのご意見から、「じゃ、知り合いだし春菊さんに是非書いてもらいたいなぁ」とボクが言った一言でお願いすることになったのですが、春菊さんは快く快諾していただき、素晴らしいイラストを書いていただきました。


さて、音楽の内容ですが、



1.Join To The Side

いきなり反則技です、ベースが入ってます。しかも一流ミュージシャン(笑)

はい、マーカスミラーさんです。

とは言っても、ソロをメインに弾いてもらいました。

やはり、マイケル、サンボーン、ミンツァーと同じくらいのボクにとってのアイドルでしたが、基本ブラスバンド編成にこだわっていたので、
今までは管楽器以外の楽器のゲストは躊躇してました。

しかし、バンドとしての熟成度も増してきて、どんな異分子が入ってこようとも「Solid Brass」のサウンドがするという自信が持てたことで
敢えて禁じて(しかもベースでサウンドを下で支えてもらうのではなく、僕らの上に乗っかってもらうという本来の逆パターンに出たわけです。

このレコーディングに際して、彼のスケジュールとボクのスケジュールが合わなかったため、メールのやりとりで具体的なコミニュケーションをとって、彼のレコーディングに関しては彼の自宅で本人のオペレートの元で行なわれました。

スラップが凄い事になってます。

そしてこのトラックのもう一人のゲストは1枚目でもお世話になった
仙波清彦さん。

この曲は基本的に6/8拍子ではありますがタイムモジュレーションで4拍子になったりかなりトリッキーなリズムアレンジになっています。

そこで、仙波さんに登場願ったのは、いわゆる「フュージョン」的なアプローチではなく、そしてアフリカン、キューバン、ブラジリアンではないサウンドにしたかったからです。

その狙いは、想像以上に上手くいきました。

ハーモニー関係も曲の後半に向かって、より複雑になりおそらく採譜は不可能だと思われます。





2.The 7th of Wonder

7/8拍子や3/4拍子などが中心になって出来ている曲。

もともとこの曲は村上ポンタ秀一率いる「Ponta Box」に演奏してもらいたくて作曲した曲であり、実際、後に「NYPB」というアルバムで「Ponta Box」の名義でピアノトリオ(ベースはアンソニージャクソン)でレコーディングしてもらました。

この2つのテイクは微妙にアレンジや拍子が違います。

この曲はBbmが基調になっていて実はトランペットやテナーサックス、トロンボーンにとって比較的、運指が楽なのです。

これが半音上のキーだったら結構地獄なフィンガリングになります。

管楽器の一通りの運指を知っているので、その辺は得をします。

この曲で7拍子でアドリブをする事が怖くなくなりました。




3.The Guammer

とにかく演奏、作曲、編曲で大切なのは「アイディア」とそれを具現化する為の「スキル」だと常日頃から思っています。

そのどちらが欠けても、恒常的にクオリティを保つのは難しいと思います。

実際、一昔、「へたうま」というスタイル(?)が流行りましたが、その頃もてはやされたものは現存してないように思います。


さてこの曲ですが、サックス3人が全員バリトンサックスです。(笑)

それにチューバが加わるのだから、相当重心低めです。

ここではとにかく、重心低めというコンセプトが最初にあり、そこから構築していきました。

基本ビートはJBです。



4.Domino

この曲は非常にライブで演奏する機会が多いです。

自分自身も気に入ってます。




5.Sophisticated Lady

この曲もマーカスミラーが参加している曲。

彼は優れたベーシストであるとともに、バスクラリネットを上手くコンテンポラリージャズにデザイン出来るバスクラ奏者でもあります。

確か、元々はベースの前にクラリネットをやっていたような?

でも、実はこの曲をお願いした時にNGが出ました。

それは、この曲は彼のソロアルバムに収録したいので、それまではレコーディングしないとの事でした。

しかし、そのあとに、とりあえずベーシックトラックを彼に聴いてもらったところ、演奏を快諾してくれ、バスクラをダビングしてくれました。

しかも、フレットレスベースでメロディを弾くというおまけもついて。



結局、その数年後にマーカスはマーカスのアルバムで同曲をレコーディングしてました。


6.Bad Attitude

アレンジをする上でいろんな手法があり、大まかに分けると「シンプル化」にすること、「複雑化」することの2つがあると思います。

それはメロディ、ハーモニー、リズムのどれをとっても言える事だと思います。

「ユニゾン」というもっともシンプルな手法は効果的に使うと非常に有効です。


この曲は、その逆の「複雑化」で出来ている曲で、メロディがコードのアッパーストラクチャーで出来ていたり、
低音とメロディパートが完全に別の動きをしていて、それぞれだけで曲が成り立つように作曲されています。

実際、複雑な低音のラインを聴いてもらいたいが為に、ライブではわざとそこの部分だけを取り出して、交互(低音、メロ)に演奏することも
あります。


7.Cassanova

イバンリンスの曲のような転調を繰り返す今までSolid Brassではやってこなかったリズム。

この曲によってバンドのサウンドが広がった。


イバンリンスはアントニオカルロスジョビンに次ぐブラジルを代表する作曲家でありボーカリスト。

ジョビンを愛好するものにとってイバンリンスはその流れで必ずたどり着く人。

メロディがシンプルでコードチェンジが斬新で転調が非常に多いのが特徴。

彼の作品はいろんなミュージシャンがカバーしているが、基本的にはご本人が歌っているテイクが一番のお気に入り。

タイトネスをレコーディングしてしばらくしてイバンとの接点が出来る。

当時、シンガー、比屋定篤子さんのプロデュースを僕がしていて、そのなかの楽曲で是非、来日中のイバンに演奏、歌をお願いすることになった。

彼に依頼するにあたり、事前に比屋定さん、僕のアルバムを聴いてもらっていたので、初対面であっても僕らがどういう音楽をやっているのかを具体的に
知っておいてもらったため、非常に全てがスムースに進んだ。

昼間に行なわれたレコーディングも順調で、その日の夜にあった彼のギグに演奏で招待され、それ以降、彼が来日する度に、僕は招待され一緒に演奏する事になる。

また、そんなことを重ねているうちに、彼から「一緒にアルバムを作ろう」と提案される。

そんな、ラッキーな事はないので、早速二人でどんなアルバムにするかの相談を東京〜リオ間のFaxや彼の来日中に彼の楽屋で進めていった。

しかし、当時の諸般の事情で具体化されなかった。

このアルバムの構想はかなり具体的に二人で話し合っていたので必ずどこかのタイミングで実現させようと思う。



8.Sponge

ランディブレッカー作曲のグルービィな曲。

オリジナルのギターのコードサウンドを金管で表現する事で面白いサウンドになった。


9.Turn Me Loose,I'm Dr.Feel Good~Cold Sweat

ジェームスブラウンの2曲をメドレー形式で。

このアレンジで随分、このレコーディングの前からライブでは演奏していた。



10.Chameleon

ハービーハンコック作曲による超有名曲。

今回、専門誌選曲、監修による僕のベスト盤がリリースされるのだが、この曲も収録され、この雑誌にこのテイクのスコアが
掲載される。

掲載にあたり、この音源を聴いて採譜していただいたのだが、どうも採譜が難しかったらしく結局、僕の直筆のスコアを提供した。

ハーモニーに関してはかなりな禁じ手を「エッセンス」として絶妙なバランスで演奏してるので、採譜は難しいので採譜屋さんには申し訳ない事してしまいました。



11.Behind You

毎度の一人多重トロンボーンアンサンブル。

このようなサウンドを面白がってくれる人がいて、それがきっかけで井上陽水さんのアルバムで、こんな感じで一人で10数本重ねに行った事がありました。
posted by YM at 20:33| 東京 ☀| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする