2008年03月28日

EVERYDAY EVERYNIGHT / FLORA PURIM

トロンボーンの魅力を語る上で外せないのが、なんと言ってもブラジルサウンドの中のトロンボーン!ブラジル音楽の名盤とされるアルバムの中には、トロンボーンの演奏が多いんだよね。ブラジル音楽では、サックスなどよりも、トロンボーンやフルートのソロの方が割合的に多い。それだけ、ブラジルのサウンドにトロンボーンというのははまりがよいってことなんだ。なぜかというと、歴史的なものも関係している。ブラジルの古典的なインスト音楽で、ショーロっていうジャンルがあるんだけど、そのジャンルの中ではトロンボーンやフルートにものすごいニーズがあった。ブラジルにおいては、それだけポピュラーな楽器なのね。

有名どころでアントニオ・カルロス・ジョビンなんかも、アルバムでトロンボーンを多用してる。この演奏は、アービー・グリーンがほとんどやっているんだけどね。ブラジルでレコーディングするのならブラジル人プレイヤーを使うはずだけど、あえてアービー・グリーン。なぜか?細かな演奏より、メロディアスな演奏が必要だった。レコーディングをブラジルでなく、NYやLAでやっていたから。その頃ボサノヴァを作っていた人達は、サンバとアメリカのジャズをミックスして、ボサノヴァを作った。つまりアメリカの方を向いていた人達が多かった。・・などなど、そんないろいろな理由があるから、アービー・グリーンが起用されていたんだと思うんだけれども。

このアルバムのトロンボーン奏者、RAUL DE SOUZAも、アメリカに移住したし。フローラ・プリムや旦那のアイアート・モレイラなんかも一緒にアメリカに出てきた。スーザは、その時期にアメリカで自分のアルバムも出している。

ブラジル人のトロンボーンって、音が柔らかくて、高い音をあまり多用しない。中低音を生かした、ヒステリックでない感じの音なんだ。ブラジル人しか出せないような、あったかい、ぼくとつとした感じというのがあって好き。テクニカル派と比べると、ヒステリックでない。そして、抜群にリズム感がいい。

スーザは、70年代後半にメジャーになって以降、表立って外で活動はしてない。ブラジルにひっこんじゃって、今はアメリカとも縁ないし、CDも作っていないんだ。6年前ぐらいに、スーザに会いに、リオデジャネイロに行ったの。将来、彼が日本やアメリカに来ることはないとわかっていたからね。彼に会うなら自分から行くしかないって思って。ちっちゃいクラブで演奏やってるのを新聞で調べて、行ったよ。場末のパブみたいなところでやっていた。年はとっているけど演奏はそのまんまで。ポピュラリティを求めるよりは、もっとプライベートな感じ。商売っけなんてまったくないの。
行ってよかったなぁ、と思う。
どうしても会いたい人がいる場合、待っていてもダメだから、やっぱり自分から動かなきゃダメなんだよね。

彼もすごいジャズが好きでジャズがやりたくてって人なんだよね。ラウル・デ・スーザも、フレッド・ウェズリーもそうだけど、彼らのアイドルはJJジョンソン。スーザは自分のソロアルバムでJJにホーンのアレンジを頼んだりしてる。スーザのソロアルバムはいっぱいおすすめあるけれど、CD化されていない。ので、中でも、彼のエッセンスがいっぱいつまっているこのアルバムをおすすめします。


posted by YM at 03:38| 東京 ☀| レコメンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。