1.Return of Prodigal Son
この曲は、「Prodigal Son」というタイトルで1枚目のアルバムに収録されており、これはリアレンジしたバージョン。
ここで自分的に画期的だと思った事はユーフォニアムで和音の壁(Pad)
を全面に施したこと。
このユーフォニアムという楽器をこういった使い方をしている人はあまりないはず。(かなりなオタクのぼくでさえ知らないので)
楽器の特性か、同じ事をトロンボーンでやっても、ああいった、ある意味、アナログシンセサイザーのようなサウンド、ステレオ感は出ない。
2.Some Skunk Funk
ご存知、ブレッカーブザーズの代表曲。
トランペット奏者であり、マイケルブレッカーの実兄であるランディブレッカーの作品。
彼は優れたトランぺッターではあるが、優れたコンポーザーでもある。
彼の曲は非常に数学的であり、いわゆるジャズにおける伝統的なドミナント7thを使わず、分数コード、もしくはサブドミナント的なコードの平行移動の進行がおおい。
分数コードもアッパーストラクチャーから派生されたものではなく、彼独自のもの。
この曲のハイライトはマイケルブレッカーの神がかった「ヘビーメタルビバップ」というライブアルバムで吹いているソロを3声にハーモナイズし演奏した事だ。
実はこの曲のアレンジはモントルージャズフェスティバルにオノセイゲンさんのユニットで出演する為に滞在していたレマン湖の畔のホテルの部屋で書いたもの。
(蛇足だが、その時のユニットはブラジルやらイギリスやらアメリカ、フランス各国から集まった多国籍バンドで日本からはリーダーのセイゲンさんと僕だけだった。)
実は、この曲、本人とSolid Brassのジョイントが今年あるのだ。
メンバー、夢叶う。
3.Wrecker
Dmのブルースにブリッジはついたもので、途中に7/8拍子が入る。
一時期、よくライブで取り上げた曲でもある。
4.Goodbye Pork Pie Hat
チャーリーミンガスの曲。
この曲はいろんな人がカバーをしていてジョニミッチェルが、ミンガスバンドのオリジナルで吹いているサックス奏者レスターヤングのアドリブソロに歌詞をつけて歌っている。
ギルエバンスオーケストラでも取り上げられており、意外なところでは
ジェフベックがカバーをしている。
しかしジェフベックはソロパートになるとテーマ部分の複雑なコードではなく、ワンコードでソロを弾いている。
実はこの曲を最初に聞いたのはジェフベックのバージョンだった。
この曲の目玉はなんといってもデビッドサンボーンの参加。
何故、彼にこの曲を吹いてもらいたかったか?
メロディが絶対、彼のサウンドとマッチするからという理由があったが、一番の理由は、彼がミンガスのバンドで演奏経験があると知っていたからだ。
実際に彼と話していてさらにわかったのは、彼がニューヨークに出て来てプロとしての最初の仕事がミンガスバンドのエキストラだったということ。
しかもテナーサックス。
今でこそ、アルトサックスのみだが、マイケルブレッカーもそうだが、スタジオミュージシャンとして、サックス奏者は木管楽器は一通り、持ち替えが必須でサンボーン自体もフルートなんか吹いていたし、マイケルに関してフルートやソプラノサックスは、それメインでアルバムを数枚作ってもいけるってほど素晴らしい。(実際、例外としてハンコックのニュースタンダードというアルバムでマイケルはソプラノを吹いており、なんの知識がない状態で、そのアルバムのその曲でのソプラノを聴いて「すげー、誰?」ってアルバムクレジットを見たらマイケルだった。)
ということで、もうすでにスーパースターであったサンボーンにとって、下積みだった頃、つまり
ギルエバンスオーケストラに在籍していた頃、ミンガスの話を僕がしたものだから驚いたと共に喜んでくれた。
レコーディングは日本でツアーに来ていた時に行われたが、事前に曲の内容についてインフォメーションしていたために、わざわざ別の楽器も
持って来日してくれたようでした。
実際はいつも使っている楽器でしたが。
いわゆるポストサンボーン的な人はプロアマ問わず多いが、実際の彼の音はとても豊かで倍音を多く含んだ「耳に痛くない」(ここ重要!!!!!)音でした。
ミンツァーもそうでした。
豊かな「木管」の音でした。
この出会いが、後の「HookUp」のレコーディングへと続くのです。
5.Squib Cakes
タワーオブパワーのオルガニスト、チェスタートンプソン作曲のタワーオブパワーの代表作。
ベースパターンが実にキャッチー。
後にタワーオブパワーの来日公演で、ゲストとして呼ばれてこの曲を彼らと演奏するなんて、この頃は夢にも思わず。
6.Shuffling Jazzmen
この曲も1枚目のアルバムで「Jazz Men」というタイトルでレコーディングした曲のリアレンジ。
当時、Solid Brassとしてライブを積み重ねて行くうちに、このよりシャッフル感を強めたバージョンが生まれた。
1枚目のこの曲のドラムは青山純さん、このテイクはポンタさん。
なんと贅沢な。(笑)
7.Reflections
セロニアスモンクの綺麗なバラード。
この曲はノーダビングで1発録音。
敢えてドラム無しの7人の管楽器だけの録音。
この曲はトロンボーンカルテット「4 Bone Lines」のアルバムに別アレンジで収録予定。
8.Freedom Jazz Dance ~ 9.Manteca
フリーダムジャズダンスが4度音程を沢山使った金管楽器には地獄の音運び。
しかも2コーラス目はハモりだし。(笑)
次に続くマンテカはトランペット奏者のディジーガレスピー作曲という事もあり、後半にトランペットのバトルをしてもらった。
(本来はバトルとか「なんとか合戦」的なものは大嫌い。でもこのバンドのトランペットを2人とも紹介したい意味合いでアレンジに加えた。)
二人とも素晴らしい。
9.Sweet Henry
トロンボーン16本1人ダビング曲。
このヘンリーは作曲家ヘンリーマンシーニの事。
確かこの直前に彼が亡くなったのだと思う。
僕は彼のファンでもあり、彼の作った曲、アレンジともに大好き。
彼の作曲したサントラにはトロンボーンがフューチャーされる事も多く、4トロンボーンのクローズドボイジシングを駆使した美味しいトロンボーンの使い方もトロンボーン吹きにはたまらない。
実際、彼のレコーディングセッションでトロンボーンソロを吹いているのはロスのスタジオミュージシャン、ディックナッシュという人で、現在70歳過ぎだがまだ現役でばりばり吹いているはず。
残念なのは彼のソロアルバムがないということ。
ただ、彼の実兄のサックス奏者テッドナッシュとの双頭的なアルバムはLPでリリースされている。
当時、必死に中古レコードを探したものです。
昔、ベニーグッドマンのサイドメンとして来日し、その中で彼がフューチャーされており、その演奏が素晴らしく。いっぺんにファンになった。(僕がおそらく19歳の頃だと思う。)
縁あって、知り合いが彼と親しくて、彼の演奏をダイジェストにまとめたカセット(本人テープ編集作成)を3本くらい頂き、すり切れる程聞いていた。
いあゆる、バック(Bach)のいい音なのだ。
ということで、9曲も収録したアルバムなのにトータルで40分満たないCDということで、クレームもありましたが無理に長くするのは愚の骨頂なのでこれでよかったと思ってます。
最近の収録時間長過ぎ。