2008年01月26日

DOUBLE EDGE その弐

 収録曲

1.Return of Prodigal Son

この曲は、「Prodigal Son」というタイトルで1枚目のアルバムに収録されており、これはリアレンジしたバージョン。

ここで自分的に画期的だと思った事はユーフォニアムで和音の壁(Pad)
を全面に施したこと。
このユーフォニアムという楽器をこういった使い方をしている人はあまりないはず。(かなりなオタクのぼくでさえ知らないので)

楽器の特性か、同じ事をトロンボーンでやっても、ああいった、ある意味、アナログシンセサイザーのようなサウンド、ステレオ感は出ない。


2.Some Skunk Funk

ご存知、ブレッカーブザーズの代表曲。
トランペット奏者であり、マイケルブレッカーの実兄であるランディブレッカーの作品。

彼は優れたトランぺッターではあるが、優れたコンポーザーでもある。

彼の曲は非常に数学的であり、いわゆるジャズにおける伝統的なドミナント7thを使わず、分数コード、もしくはサブドミナント的なコードの平行移動の進行がおおい。

分数コードもアッパーストラクチャーから派生されたものではなく、彼独自のもの。

この曲のハイライトはマイケルブレッカーの神がかった「ヘビーメタルビバップ」というライブアルバムで吹いているソロを3声にハーモナイズし演奏した事だ。

実はこの曲のアレンジはモントルージャズフェスティバルにオノセイゲンさんのユニットで出演する為に滞在していたレマン湖の畔のホテルの部屋で書いたもの。

(蛇足だが、その時のユニットはブラジルやらイギリスやらアメリカ、フランス各国から集まった多国籍バンドで日本からはリーダーのセイゲンさんと僕だけだった。)


実は、この曲、本人とSolid Brassのジョイントが今年あるのだ。

メンバー、夢叶う。

3.Wrecker

Dmのブルースにブリッジはついたもので、途中に7/8拍子が入る。

一時期、よくライブで取り上げた曲でもある。

4.Goodbye Pork Pie Hat

チャーリーミンガスの曲。

この曲はいろんな人がカバーをしていてジョニミッチェルが、ミンガスバンドのオリジナルで吹いているサックス奏者レスターヤングのアドリブソロに歌詞をつけて歌っている。

ギルエバンスオーケストラでも取り上げられており、意外なところでは
ジェフベックがカバーをしている。

しかしジェフベックはソロパートになるとテーマ部分の複雑なコードではなく、ワンコードでソロを弾いている。

実はこの曲を最初に聞いたのはジェフベックのバージョンだった。


この曲の目玉はなんといってもデビッドサンボーンの参加。

何故、彼にこの曲を吹いてもらいたかったか?

メロディが絶対、彼のサウンドとマッチするからという理由があったが、一番の理由は、彼がミンガスのバンドで演奏経験があると知っていたからだ。

実際に彼と話していてさらにわかったのは、彼がニューヨークに出て来てプロとしての最初の仕事がミンガスバンドのエキストラだったということ。
しかもテナーサックス。
今でこそ、アルトサックスのみだが、マイケルブレッカーもそうだが、スタジオミュージシャンとして、サックス奏者は木管楽器は一通り、持ち替えが必須でサンボーン自体もフルートなんか吹いていたし、マイケルに関してフルートやソプラノサックスは、それメインでアルバムを数枚作ってもいけるってほど素晴らしい。(実際、例外としてハンコックのニュースタンダードというアルバムでマイケルはソプラノを吹いており、なんの知識がない状態で、そのアルバムのその曲でのソプラノを聴いて「すげー、誰?」ってアルバムクレジットを見たらマイケルだった。)

ということで、もうすでにスーパースターであったサンボーンにとって、下積みだった頃、つまり
ギルエバンスオーケストラに在籍していた頃、ミンガスの話を僕がしたものだから驚いたと共に喜んでくれた。
レコーディングは日本でツアーに来ていた時に行われたが、事前に曲の内容についてインフォメーションしていたために、わざわざ別の楽器も
持って来日してくれたようでした。
実際はいつも使っている楽器でしたが。

いわゆるポストサンボーン的な人はプロアマ問わず多いが、実際の彼の音はとても豊かで倍音を多く含んだ「耳に痛くない」(ここ重要!!!!!)音でした。

ミンツァーもそうでした。
豊かな「木管」の音でした。

この出会いが、後の「HookUp」のレコーディングへと続くのです。

5.Squib Cakes

タワーオブパワーのオルガニスト、チェスタートンプソン作曲のタワーオブパワーの代表作。

ベースパターンが実にキャッチー。

後にタワーオブパワーの来日公演で、ゲストとして呼ばれてこの曲を彼らと演奏するなんて、この頃は夢にも思わず。

6.Shuffling Jazzmen

この曲も1枚目のアルバムで「Jazz Men」というタイトルでレコーディングした曲のリアレンジ。
当時、Solid Brassとしてライブを積み重ねて行くうちに、このよりシャッフル感を強めたバージョンが生まれた。

1枚目のこの曲のドラムは青山純さん、このテイクはポンタさん。
なんと贅沢な。(笑)

7.Reflections

セロニアスモンクの綺麗なバラード。
この曲はノーダビングで1発録音。
敢えてドラム無しの7人の管楽器だけの録音。

この曲はトロンボーンカルテット「4 Bone Lines」のアルバムに別アレンジで収録予定。

8.Freedom Jazz Dance ~ 9.Manteca

フリーダムジャズダンスが4度音程を沢山使った金管楽器には地獄の音運び。
しかも2コーラス目はハモりだし。(笑)

次に続くマンテカはトランペット奏者のディジーガレスピー作曲という事もあり、後半にトランペットのバトルをしてもらった。
(本来はバトルとか「なんとか合戦」的なものは大嫌い。でもこのバンドのトランペットを2人とも紹介したい意味合いでアレンジに加えた。)
二人とも素晴らしい。

9.Sweet Henry

トロンボーン16本1人ダビング曲。

このヘンリーは作曲家ヘンリーマンシーニの事。
確かこの直前に彼が亡くなったのだと思う。
僕は彼のファンでもあり、彼の作った曲、アレンジともに大好き。
彼の作曲したサントラにはトロンボーンがフューチャーされる事も多く、4トロンボーンのクローズドボイジシングを駆使した美味しいトロンボーンの使い方もトロンボーン吹きにはたまらない。

実際、彼のレコーディングセッションでトロンボーンソロを吹いているのはロスのスタジオミュージシャン、ディックナッシュという人で、現在70歳過ぎだがまだ現役でばりばり吹いているはず。
残念なのは彼のソロアルバムがないということ。
ただ、彼の実兄のサックス奏者テッドナッシュとの双頭的なアルバムはLPでリリースされている。
当時、必死に中古レコードを探したものです。

昔、ベニーグッドマンのサイドメンとして来日し、その中で彼がフューチャーされており、その演奏が素晴らしく。いっぺんにファンになった。(僕がおそらく19歳の頃だと思う。)

縁あって、知り合いが彼と親しくて、彼の演奏をダイジェストにまとめたカセット(本人テープ編集作成)を3本くらい頂き、すり切れる程聞いていた。

いあゆる、バック(Bach)のいい音なのだ。




ということで、9曲も収録したアルバムなのにトータルで40分満たないCDということで、クレームもありましたが無理に長くするのは愚の骨頂なのでこれでよかったと思ってます。

最近の収録時間長過ぎ。



posted by YM at 00:47| 東京 ☀| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月25日

DOUBLE EDGE

DOUBLE EDGE

1995年録音 32歳の時の作品。

カミソリのイラストのまさしく「ソリッド」はサウンドに仕上がっている。

このアルバムから、完全に「Solid Brass」編成になり、自分としても、このメンバー、編成に関して
ある程度「やり方」が見えてきた作品でもある。

レコーディングメンバーは

村田陽一(tb)

エリックミヤシロ(tp)
西村浩二(tp)

本田雅人(reeds)
竹野昌邦(reeds)
山本拓夫(reeds)
淵野繁雄(reeds)

佐藤潔(tuba)

村上ポンタ秀一(drs)

David Sanborn(as)

このアルバムの直前にニューヨークにてブラスカンファレンスに招聘され、その際、スイートベイジルにでSolid Brassとして
演奏した。
実はこの手のカンファレンスは招待はするのの、交通費、滞在費は一切支給されずすべて自己負担となる。
たいていの場合は楽器メーカーなどがスポンサーとなりサポートすることがほとんど。
当時、そういったメーカーとの付き合いもなく、メンバーみんなそれぞれが異なるメーカーの楽器を使っていたこともあり、
そういう援助がなく、また僕としてもそれを望まなかった。

で、どうしたか。。。。。。。。。

「みんな、とりあえず現地集合現地解散ということで、来れる人は来てね」っていったらメンバー全員が自己負担で付き合ってくれた。(ポンタさんも自腹だったのだ。)
おまけに山弦の2人も合流。

ブラスカンファレンス自体は実は僕は余り興味がなく、それよりはスイートベイジルに出演出来ることだった。
この店は僕が敬愛してやまない編曲家ギルエバンスが毎週月曜「マンデイナイトオーケストラ」というバンドを主宰し演奏していた場所だ。
彼にとって実験の場でもあるホームグランドだった、この場所で演奏出来るなんで願ってもないチャンスだった。
実際、彼が弾いていたというピアノを触って妙に感動したことを覚えてる。

店自体、非常に狭い所で、よくこのスペースでこの人数のオーケストラをやっていたんだなぁと思った。
実際、ギターのハイラムブロックはトイレに向かう為の通路で演奏していたそうだ。

このアルバムのジャケットに写っているトロンボーンはビンテージのBach 16というモデルで、カンファレンス内で出店していた楽器屋さんのブースに1000ドルで売っていた。
これを同行したチュ−バの潔さんに相談したら、「買いなよ」って即答。
はい、早速買いました。
当時まだ、円高だったので随分お得な買い物でした。

このアルバムは、まだコーンのベルにキングのスライドという組み合わせで全曲レコーディングしている。
カンファレンスでのその楽器を使用しているが、購入したその数日後にあったスイートベージルでは、もうNYバックを使用している。

ここから当分、このNYバック16と11Cというマウスピースの組み合わせが続くことになる。

このアルバムのリリース後に「Solid Brass」としてTV出演が数本あり、それによってこのバンドの認知度が上がる。
しかし、商売っ気のない僕はその後映像媒体にあまり「Solid Brass」として出演しないスタンスをとる。
それはメンバーに十分なTVだとギャランティを支払えない状況だったので、それは嫌だったのだ。
基本メンバーが揃わなければ「Solid Brass」を名乗りたくなかったということもある。


ここ6、7年間の間に知り合った現在30歳前後の管楽器のプロの子たちと話をする度に、このアルバムを学生の頃に聞いていたりライブにきていたということを聞いて非常に嬉しい。



posted by YM at 16:22| 東京 ☀| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月23日

DANCIN' to SOLID BRASS

DANCIN' to SOLID BRASS

1993年の作品。

村田陽一(Tb,Euphonium,Syn,Program)

スチャダラパー(addtional Dr Program)

荒木敏男(Tp)
Eric宮城(Tp)
菅坂雅彦(Tp)

本田雅人(Sax)
竹野昌邦(Sax)
山本拓夫(Sax)

佐藤潔(Tuba)

山根麻衣(Vocal)

橋本ゆかり(Syn operate)

いわゆるミニアルバム。
SOLID BRASSといっておきながら1曲もSolid Brass編成の曲が収録されておらず。
かろうじてジョンレノンの「Happy Xmas」がポンタさん以外のメンバーでレコーディングしている。
実はポンタさんもこのレコーディングに参加しているのだが、事情により彼のトラックはミュートされて、この音源上では
彼のドラムはない。

当時、クラブシーンの創世記であり、アナログ盤を使うDJがもてはやされていて時代であり、制作サイドから当時人気のあった
「シュチャダラパー」とクラブ向けのコンセプトアルバムを作るということだった。

なので生ドラムは一切排除され、彼らの作るループを使うことを余儀なくされた。

とはいっても、結局、こちらでかなり(というか、音楽的な部分でのリズムアレンジ、アイディア)作り込んでしまった。
結局、彼らの良さも半減してしまったのだと思う。

まあ、僕の作る曲、アレンジする曲はきちんと起承転結があるので、ある意味、「垂れ流し」的なその時代のループはそぐわないのだ。
ポンタさんの演奏をミュートすることにかなり僕は反対した結果、後にポンタさんの演奏を含まれた正真正銘「SOLID BRASS」バージョンを発表する(後にDecadeにて収録)ことを約束し、今回はわざわざ「Loop Version」というクレジットをいれてもらった。

じゃ、このアルバムが嫌いかと言うとそんなことは全くなくて実は結構好きだったりする。(笑)


<収録曲>

1.A Sense Of Crisis

実はこの曲が一番このアルバムで好きな曲だったりする。
16ビートのビジーな曲。
途中でドラムのパターンは変わらずDouble Time Swing Feelのサックスソリが導入される。
このデンポ(bpm)だと16ビートの解釈も4ビートのフレーズが共存する。
基本3管に僕の打ち込みのみによる演奏。

2.Under Cover Of Darkness

これは打ち込みに3管にフルート、フリューゲルホルンをダビングしたもの。

3.Counter attraction

この曲はチューバの佐藤潔さんも加わった5管。
チューバのベースラインは気の毒な程、息継ぎが出来ないフレーズで、フレーズを抜き差ししてチューバを2回ダビングしている。
よく聞くと左右でチューバが交互で出ている。

4.G.N.P

この曲は「SOLID BRASS II」に収録されているトラックにあらたにトロンボーンのソロを入れ直し、トラックをあくまで素材のレベルにして
スチャダラパーに遊んでもらいました。
僕には、「ない」感覚です。(笑)

5.Happy X'mas

この曲はご存知の通り、ジョンレノンの曲。
僕はまるで「ビートルズ」を通ってきてないので、この選曲は当時のマネージャーによるもの。
いわゆる原曲のような3/4拍子の横揺れのものでなく6/8拍子にして1小節を3分割、4分割、6分割したりリズムのモジュレーションを試みた。
この曲はポンタさんも含め、全員で「よ〜い、どん!」で同録しました。

あらためて、これ管楽器とドラムだけの演奏だとは思えない程のフルバンド並みに厚さになってます。

あ、パッドでユーフォニアムダビングしてました。

すみません、嘘ついてました。(笑)





posted by YM at 19:02| 東京 ☁| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月21日

SOLID BRASS II その弐

収録順にコメントをば。

1.GNP

これは正真正銘SolidBrass編成。(BassやKbがおらず管楽器とドラムだけ)
ドラムは小田原豊君。
彼とは当時レベッカ関係でおつきあいがあった。
レベッカの「ラズベリードリーム」のレコーディングもホーンズとして参加。もちろん、その頃、僕はまだ大学生。

当時、大学の仲間に「米米クラブ」っていうより「レベッカ」と付き合いがあるといったほうが、尊敬された。(笑)

ゲストにギタリストCharさんを迎えた。
Charさんとは僕がまだ米米クラブのお手伝いをしていた時に、そこで知り合う。
彼はまだ米米クラブがメジャーになる前に、ドラマー(?)として遊びに来ていたりしたのだ。

このトラックでソロを弾いてもらう際に彼は「普段の逆だね?」と言ってました。

そうです、普段だったら伴奏に回るホーンセクションの上にギターがソロをする。

ちょっと面白いグルーブ感が出ました。



2.General Function

これもSolid Brass編成&小田原君。
いわゆる8ビート系。
チューバとバリトンサックスのベースラインが息継ぎがなくて大変。


3.Don't Hold Back

うって変わって、この曲はバンド編成に3管のホーン、そしてボーカル。
かなりグルービー。
ブラスも含めてかなりのお気に入りのトラック。
いわゆる「歌もの」をちゃんと書いた最初の曲。
かなり洋楽。
この曲のドラムの山木さんは、ここで初対面。

4.Donna Lee ~ The Chicken

この2曲のメドレーはキャッチーだったようで、その後、チキンは
学生さんのジャムセッションなんかでかなりポピュラーになった模様。

ご存知のとおり、ドナリーはチャーリーパーカーの曲。(マイルスは
「この作曲者はオレだ!」と豪語していたらしいが、ピアニスト、ビルエバンス作曲の「ブルーイングリーン」の件も含めて、明らかにマイルス作曲ではない)

チキンはジャコパストリアスが取り上げていたことで、彼の作曲と勘違いされやすいが、ジェームスブラウンのバンドのテナーサックス奏者ピーウィエリスの作曲。

ここでフューチャ−されるテナーサックス奏者のボブミンツァーさんは
このレコーディングしている頃にGRPビックバンドで来日中で、ジャコものをやるにあたり、是非ボブさんに参加してもらいたいと思って、評論家の小川隆夫さんにお願いしてアポイントをとった。
そこでボブさんはまず曲を聴かせてくれ、というリクエストがあったので早速別作業中の僕のレコーディング現場まで足を運んでいただき、音源を聞いた後、レコーディングを快諾。

後日、レコーディングダビングをしてもらう。
現場にいた竹野君たちは彼の生音を聞いて凍り付く。(笑)

これが縁で、機会があるごとにご一緒させていただくことになる。

5.Sak Sak

バンド編成曲。

今回のレコーディングは基本的には鍵盤奏者は招かないで、必要な部分は自分で演奏している。
この曲もそう。

そのかわりにこのトラックは「山弦」のお二人がツインギターとして参加してくれている。

佐橋くんと小倉君はギタリストとしてでなく、アレンジャー、プロデューサーとして我が国のポップス界の屋台骨を支えてきて久しい。

その後、Solid Brassがニューヨークのスイートベイジルで演奏をする時に、「自腹」で渡航して参加してくれる。(メンバーも)

6.Hidden Confession

この曲で初めてストリングスアレンジをした。
個人的にトロンボーンソロでのコードの運びが気に入っている。

その背景に、その頃おつきあいのあった、俳優、三上博史さんの自作の詩の朗読が入っている。

とはいってもあまり聞こえないでしょう?

それもそのはずで、聞こえないようにボリュームを下げてしまったから。

詩の内容が「殺人」とか「死」を連想させてしまう部分があったために
当時のディレクターさんの強い要望によってボリュームを下げざるをえなかった。

非常に残念。

この詩が埋もれた事によって、この曲の本来の形が崩れてしまった。

もっとも、このリクエストに応じないと、このトラックはお蔵入りといわれたので泣く泣く、このバランスとなった。

ちなみにこの曲のテーマ部分はバルブトロンボーンを使用。


7.Slip Sticks

この曲で正真正銘、山木さんと初対面。
出会い頭という事で、山木さん、ベースの美久月さんと僕の3人が山木さんが即席でつくった7/8拍子のループを鳴らしながら、なにも決めずにセッション。

しかも、スタジオの関係で僕だけが別のフロア(階)で。
そして3人同時よーいどん。

なのでコードもメロディも構成もすべて即興。

これを持って帰り、自分のその時に演奏を中心に「曲」として構築。

かなりタイトでクレイジーなトラックが出来上がった。


8.We Go Together

この曲はバンド編成でホーンは僕のトロンボーンのみ。
しかも歌もの。

歌は上田正樹さんとCHAKAさんのデュエット。

しかもお二人には別々の日にダビングにきてもらった。

上田さんはどうやっても「上田正樹」だった。(笑)

僕は以前から彼のファンで、この数年前に彼のバンドに参加することとなる。ラッキー。


9.Cross Town Traffic

これはジミヘンドリックスのカバー。

じゃがたらのEbbyとSolid Brassという編成。

そしてボーカルは桑田圭祐さん。

彼の参加は非常に周りを驚かせた。(僕も)

普通ではあり得ない参加だったが、当時、山弦さんたちがしきりに
彼に参加を勧めてくれたこと、レコード会社が同じだったということ
等の追い風が吹き実現となった。

ボーカルダビングもあっという間に終了。

残念なのは、この組み合わせで一度もライブをしていないということ。



10.Reason

天の邪鬼精神まるだしの曲。(笑)
楠瀬誠志郎の声をサンプルして和音やボイスパーカッションを並べた上にトロンボーンでメロディ。
曲調が僕っぽい。


アルバムのジャケットで映っているトロンボーンはキング2Bゴールドプレートだが、実際はすべてコーンのバルブトロンボーンのベルセクションにキングのイエローのスライドの組み合わせ。


posted by YM at 23:07| 東京 ☁| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月20日

SOLID BRASS II

いわゆるメジャーデビュー作。

それなのに、「SOLID BRASS II 」(笑)

これは僕のこだわり。

1993年録音、

私、29歳。

いわゆる、2年前の「SOLID BRASS」以降に知り合ったミュージシャンがゲストに参加していただいた賑やかしいアルバム。

これも前作同様、アルバムタイトルには「SOLID BRASS」とはあるが、あくまでも自分のソロアルバム。

僕にとって「SOLID BRASS」とは管楽器とドラムの編成の時に限って呼ぶ。

なのでこのアルバムではいわゆる普通にリズムセクションが入っている。

参加メンバー:

村田陽一(tb,b-tb,eup,prog,kbs)

エリック宮城(p-tp,tp,flh)荒木敏男(tp,flh)菅坂雅彦(tp,flh)
山本拓夫(reeds)竹野昌邦(reeds)本田雅人(reeds)佐藤潔(tuba)

村上"ポンタ"秀一(ds)山木秀夫(ds)小田原豊(ds)

Char(gt)
山弦are佐橋良幸(gt)&小倉博和(gt)
Ebby(gt)
美久月千晴(bs)
横山達治(conga)
加藤ジョーストリングス(strings)
三浦憲和(prog)

Bob Mintzer(ts)

桑田圭祐(vo)
上田正樹(vo)
CHAKA(vo)
楠瀬誠志郎(cho)
Dale Sabders(vo)

三上博史(ポエトリーリーディング)


なんじゃ、この豪華さは?!(笑)




posted by YM at 00:30| 東京 ☀| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2008年01月19日

SOLID BRASS その弐

「SOLID BRASS」収録曲

1. MIZUTANI
この曲は基本的にはドラムループとエリック、山本拓夫、私によるホーンダビングで成り立っている。エリックはメロディパートにピッコロトランペットでオクターブ上をなぞってもらった。拓夫君はサックスの他にバスクラリネットをダビングしてもらった。
実はこの曲が彼にとってのバスクラデビューとなる。なぜなら、「今、買ってきたんだよ」と彼が言ったので間髪入れず、「はい、それ使いましょ」ってことになったから。

僕は通常のテナートロンボーン以外にユーフォニアムやバストロンボーンをダビングした。
この曲にはチューバは参加しておらず低音はバリトンサックスとバストロンボーンで行なっている。
この曲はいわゆるDmの変形ブルースで、後半のトロンボーンのリフはシカゴのホーンセクションのようなサウンドになっている。


2.LANDSCAPE
この曲はもともとジャガタラのライブのオープニングとして作曲した曲。
ジャガタラではよりアフロビートなアプローチになっているが、このテイクは基本は8ビート、中間部がアフロ、後半にニューオリンズ的なジャムになっている。

3.10 FEET HIGH
もともと新宿ピットイン夜の部に若手(当時)ミュージシャンによるギグがあって、その時の為に作曲したもの。
テーマの後半からソロへ移行するときに、タイムモジュレーションを使っている。
こういうトリッキーな手法は、もう既にここで使っていた。
テーマAはいわゆる半音上昇(下降ではなく)という変わったコード進行。
テーマBはいわゆるツーファイブの応酬のジャズ曲の典型的なコード進行。4.PRODIGAL SON
当時流行っていた「ゴーゴー」のリズムの跳ねた16ビート。

5.AFTER IMAGE
菅野ようこのピアノをフューチャーしたボサノバ。

6.SKA
いわゆる「スカ」
中間部ではスカらしくない奇麗な転調が繰り返される。
この曲、のちにトロンボーンカルテット「4 Bone Lines」でリズムループとトロンボーン4人だけで演奏している。
アレンジは若干変更しており、カルテットは途中JB(ジェームスブラウン)ぽい展開になってる。
カルテットでレコーディング予定。

7.NIGHT & DAY
コールポーター作曲の有名な曲。
すべてトロンボーンによるオーバーダビング。
リズムの刻みをカップミュートを付けて演奏している。
これが、今後自分のアルバムでは必ず1曲収録するトロンボーンオンリ−のスタートとなった。

8.WELL YOU NEEDN'T
セロニアスモンク作曲の有名なジャズスタンダード曲。
冒頭部は大友良英さんのターンテーブル(使用した盤はモンクのオリジナル盤)からそれに合わせて生の演奏が始まる。
中間部に変拍子のブリッジが入る。
そこで仙波師匠のアイディアで青山さんと手拍子のパターンを沢山ダビングして仙波ワールド満載。


9.CARAVAN
デュークエリントンのこの上なく有名な曲。
リズムのフィギュアは基本的にはアートブレイキージャズメッセンジャーに於けるウェインショーターのアレンジを借用。
ソロ後のTuttiはいわゆるフルバンドのサックスソリのサウンド。サックス3人でも充分サウンドするし、そのフレーズに呼応するブラスも3人で充分。

10.CHELSEA BRIDGE
これはエリントンの片腕であったビリーストレイホーンが作曲した曲。
とにかくオルタードテンションをメロディラインとして紡錘いて行く作曲法として、私の受けた絵影響は多大。
これも同時録音。
まだまだ蒼いメロの吹き方ですな。(笑)
実はこの曲も4BLでリアレンジして演奏していて、4BLのアルバムに収録予定。

11.SMOKE & CLOUD
基本ビートは8ビート。
キメが6/8拍子的なフィール。
ソリもその延長上で途中から16ビートになる。
いわゆる、低音部と高音部とでパラリズムを作る手法の
原点。

12.JAZZ MEN
いわゆるシャッフルのブルース。
この曲は敢えてポンタさんではなく、青山さんに演奏してもらった。


このアルバム制作後にレコード発売ライブをやることとがきっかけでSolid Brassというのが「バンド」として結成される。
渋谷パルコ前でストリートライブをやったのもその頃。

残念なことに、このアルバムは諸般の事情で、もうマーケットに出ることはないと思われます。

だからこそ付加価値が付くってものですね。
posted by YM at 22:19| 東京 ☀| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

SOLID BRASS

1991年に発表された私のデビューアルバム。

当時私27歳。

その頃、じゃがたら等で一緒になることが多かったサックス奏者、篠田昌巳さんが「村田君、もうこの世の中先があまりないから自分の作品を残しておいた方がいいよ」と下北でのじゃがたらのリハの帰り道、井の頭線で僕にこう呟いた。

今思うと、篠田君はその数年後の「死」を予感していたのかもしれない。

考え過ぎかもしれない。


そういうこともあり、当時新宿、六本木ピットインを中心に自分のバンドやセッションを繰り返していた僕にとって、ひとつのチャンスが訪れた。

篠田君や清水一登さん、渡辺等さんたちがこぞってリリースした「パフアップ」というインディレーベルからアルバムを出させてもらいことになった。

その当時から生意気にも、メジャー指向があったため、ゆくゆくのメジャーデビューの前にインディーズならではのことをしようと考えた。

つまり、メジャーでは承諾されないようなコアな内容のものにしようと思ったのだ。

自分が管楽器ということもあり、自分の周りには同世代の優れた管楽器の仲間がいた。

だったら、管楽器を主体とした変則的なアンサンブルでやってみようかと思い、メンバーの人選をした。

仙波さん、青山さんは実は知りあいの紹介でこのレコーディングに参加していただいた。

つまりレコーディングの時が初対面だったわけ。

このお二人は縁があって最近よくご一緒するが、昔と今と全然印象が変わらないし、当時も野とも山ともつかないこの生意気な若造に対して真摯に素晴らしい演奏を提供してくれた。

村上ポンタ秀一さんはこのプロジェクトの中心にいてもらいたくて、彼が出演していた新宿ピットインの楽屋に出向いてこのプロジェクトの参加をお願いした。

今ではすっかり巨匠となった菅野ようこさんはその前後で、彼女達のバンド「てつ100%」に僕がサポートしたり、僕の当時のバンド「TRAD」に彼女が参加してくれていたりしていて比較的、密に交流があった。

大友良英さんは、現在はギタリスト中心の活動みたいですが、当時はいわゆる
ターンテーブルを含めた音楽を展開していて、ピアニスト黒田京子さんのバンドでよくご一緒した。いわゆる新宿ピットイン朝の部でだ。

ギタリストの鳥山雄司さんとは、その頃六本木ピットイン界隈のシーンでご一緒した。

鳥山さんとはここ10年以上ご無沙汰だったのが、ここ数年、FNS歌謡祭でお互いプレイヤー、アレンジャーというスタンスで再開出来てちょっと嬉しい。
(笑)

管楽器の面々は今でも一緒に演奏している僕と同世代の仲間。


この管楽器の編成にこだわったのは最小の人数でいろんなサウンドを出すというコンセプトの元で産まれた。

サックスが3人いることでフルバンドのサックスソリ的なものカバー出来るし、金管もこの数ならばサウンドも重たくならない。

とはいえ、こんな編成でフルバン的(エリントン、ギルエバンス)なもの、ブレッカーみたいなもの、タワーオブパワー的なものを出すアンサンブルは前例がないので全てが自分にとってトライだった。

当時、今のようなハードディスクレコーディングやシーケンサーなどは一般的ではなく、簡単な12chのMTRが主流だった。

一応スケッチとしてレコーディング本番前にサンプルを作ろうと思い、サックスの竹野君に自宅に来てもらって、ソプラノ、アルト、テナー、バリトンを沢山ダビングしてもらってアレンジのシミュレーションをしてもらった。

こんな状態だったので収録曲全ては全部生演奏且つエディットなしという男らしい潔さだった。

このレコーディングは基本的に全てBach36という中太管のテナートロンボーンを使っている。

デラルスでニューヨークへ言ったときにジョンファディスさん、トムマローンさんと一緒にいった楽器屋さんで購入したもの。

現在、手元にはなく、手放したことを若干後悔。

村田陽一(tb,b-tb,eup)
エリック宮城(p-tp,tp,flh)菅坂雅彦(tp,flh)原朋直(tp)
山本拓夫(fl,b-cl,ts,bs)竹野昌邦(cl,ts)本田雅人(ss,as)
関島岳郎(tuba)佐藤潔(tuba)仙波清彦(per)
村上"ポンタ"秀一,青山純(ds)
大友良英(turntable,g)鳥山雄司(g)管野よう子(p)


Recorded 1991.3
posted by YM at 03:07| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

アルバムタイトル

<リーダー・アルバム>

『SOLID BRASS』(1991/バフアップ)

『SOLID BRASS II』(1993/ビクターエンタテインメント)

『DANCIN' to SOLID BRASS』(1993/ビクターエンタテインメント)

『DOUBLE EDGE/SOLIDBRASS』(1996/ビクターエンタテインメント)

『What's Bop?/SOLID BRASS』(1997/ビクターエンタテインメント)

『HOOK UP』(1999/ビクターエンタテインメント)

『3 Views/3 Views Producers』(2000/ビクターエンタテインメント)

『TIGHTNESS/SOLID BRASS』(2001/ビクターエンタテインメント)

『DECADE(REMIX, BEST&MORE)/SOLID BRASS』(2001/ビクターエンタテインメント)

『ABSOLUTE TIMES』(2003/ビクターエンタテインメント)

『SAX&BRASS magazine presents“村田陽一ベスト・ワークス”』
(2008/ビクターエンタテインメント)

『4 Bone Lines/Vol. 1 “CLASSICS”』(2008/佼成出版)

『4 Bone Lines/Vol. 2 “MODERNS”S』(2008/佼成出版)


『トリビュート・トゥ・ブレッカー・ブラザーズ』~ 村田陽一ソリッド・ブラス&ビッグ・バンド・フィーチャリング・ランディ・ブレッカー(2008/ビクターエンタテインメント)
posted by YM at 02:29| ディスコグラフィ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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