1958年の録音された前代未聞のジャズ系トロンボーンラージアンサンブル。このアルバムが興味深いのは当時のLPでA面がアメリカ東海岸、B面が西海岸のジャズ系スタジオ系トロンボーン奏者で演奏していることです。演奏やアレンジがそれぞれの特徴が如実にサウンドに現れていています。どの曲も10人のトロンボーン+ピアノトリオの編成ですが実際はリハーサル要員だったり曲によって若干メンバーが違うということもあって実際にこの録音に携わったトロンボーン奏者は30人以上だと思われます。JJ.ジョンソンはレコード会社の契約の関係で演奏には参加していませんが、編曲者として参加しています。
この音源は私が高校生の頃、つまり30年前にLP盤としてラッキーにも手に入れることが出来て、それ以来、自分にとっての1つのバイブルとなっていましたが、なかなかCD化されることがなくこれを知らない人は非常にお気の毒だと思っていました。
そしてここ1、2年前にCD化されて本当に嬉しく思っています。ジャズ系トロンボーンラージアンサンブルの音源に関して、これより優れているものはないと断言します。
このアルバムにはジャズトロンボーンに於けるあらゆるスタイルが網羅されています。バップ系は勿論のこと、特にスィート系に関しては絶品です。当時のレコーディングですから、多少の編集はあったとしてもアンサンブルもソロも同時録音でしょうし、ソロだけやり直すということもないハズです。それでこのクオリティですから驚愕です。
企画だけ見ると巷に溢れている「安い」「易い」バトルものに見られがちですが、実際はそんなことは一切無く非常にバランスのとれた作品だと思います。西海岸VS東海岸というのはバトルというニュアンスではなく、文化の比較となっていると思います。
西海岸と東海岸のどちらが好みかということに関して、当時の高校生の私と今の自分と若干変化していて、それも非常に興味深いです。
このアルバムの企画立案、実行したのは、レコード会社社長の一存だったようですが、彼はもともと金管楽器奏者だったからこそ実現したかも知れません。しかし、本当にこの文化的な貢献に感謝です。
East Coast:
Eddie Bert,Jimmy Cleveland,Henry Coker,Bennie Green,Milba Liston,Benny Powell,Frank Rehak,Bob Brookmeyer,Dick Hickson,Bart Varsalona,Bob Alexander(trombone),J.J.Johnson(arranger)
West Coast:
Marshall Cram,Herbie Harper,Joe Howard,Ed Kusby,Dick Nash,Murray McEachern,Pullma"Tommy"Pederson,Frank Beach,Gerge Roberts,Ken Shroyer,Milt Bernhart,Bob Fizpatrick,Joe Howard,Lewis McGreery,Frank Rosolino,Dave Wells,Bob Brookmeyer(trombone)
個人的には当時人気のあったスタンケントン楽団のトロンボーンセクションが丸ごと参加している西海岸のトラックのアンサンブルのまとまり具合やそのケントン楽団のソリストだったロソリーノ、ジョージロバーツ、そしてヘンリーマンシーニのレコーディングでは欠くことが出来ないディックナッシュのソロが特筆ものだと思います。
posted by YM at 02:23| 東京 ☀|
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