2010年07月04日

From Dennis Rollins

UKからAirmailが届いた。(余談だが、最近"AirmailSpecial"のフルバンアレンジをした。とっても難しいやつを)

以前、ブログにも書いたDennis Rollinsからだ。

先日、こちらから僕のアルバムを送ったお返しとして、僕が持っていなかった彼のソロCDを送ってくれたのだ。

しかも、今時めずらしく手書きの長文お手紙で。

僕のアルバムの感想も有り難かった。

彼は、楽器のスキルもあり、伝統的なサウンドを周到しつつ、尚且つ自分のオリジナリティを持つ素晴らしくHipなトロンボーン奏者だ。

僕と年齢が1歳しか違わないということもあり、非常に感性が似ているということをお互い感じていて、今後何らかのカタチでコラボレーション出来ることだろう。



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2010年06月26日

JASMINE/KEITH JARRETT and CHARILE HADEN

2007年、キースの自宅での録音。

チャーリーヘイデンは数多くのピアニストとデュエットのアルバムを作っている。ケニーバロンとはジャズスタンダード、最近惜しくも亡くなったハンクジョーンズとはアメリカの古いフォークソング集、ブラジル人の鬼才エグベルト・ジスモンチとはオリジナル作品を中心にレコーディングしている。どれもが本当に素晴らしい。ピアニストの魅力を余すこと無く引き出しいているチャーリーヘイデンのスゴさを感じる。余談になるがギタリスト、パットメセニーとのデュエットも素晴らしい。

本作はジャズスタンダードを中心に取り上げていて、こういうデュオが陥りやすいジャズクラブのBGMのようなイージーさは全くなく、ものすごく優しく、一音入魂の演奏が全編繰り広げられている。特にキースの弾く一つ一つの音に色んな感情が詰まっているように聴こえる。
本当に癒される音楽だ。

この作品が二人の30年ぶりの再会セッション、しかもキースの自宅で録音なんて素晴らしすぎる。



癒されたい人に絶対お薦め。

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2010年05月06日

Remember The Sound homage to michael brecker/George Robert Jazztet special guest randy brecker

いわゆるマイケルブレッカーのトリビュートもの。
スイスのローザンヌ音楽院で教鞭を取るアルトサックス奏者ジョージ・ロバート率いる10人編成のラージアンサンブル。作編曲は全てピアニストのジム・マクニーリーに寄るもの。全編オリジナル楽曲ではありながら全ての楽曲にマイケル・イズムが注入されている。
管楽器が6人ながらアレンジ、演奏が素晴らしいので非常に厚いサウンドになっている。
アレンジはかなり緻密でアンサンブルの完成度が非常に高くて、これほどの凝ったラージアンサンブルを聴いたことがない。ビッグバンドとは違って、この6人(as,ts,tp,trb,fl,bsx)だと全ての楽器のライン個々にちゃんと聴こえるのでどれだけ複雑で緻密なことをやっているかがよく解る。アレンジにも時間がかかったと思うが、アンサンブルの練習を十分に積んでレコーディングに臨んでいると思う。

トリビュートものとして括られるのが惜しいだ。

ここ数年、ジャズはアメリカよりもヨーロッパの方が断然面白い。



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2010年03月22日

Ceremony/Omar Sosa

ピアニスト、作曲家、Omar Sosa のビッグバンドとのコラボレーションアルバム。とはいっても普通のビッグバンドの感じとは大きく異なる。
それはアントニオカルロスジョビンの音楽監督でありチェリストのJaques Marelenbaumがアレンジをしているからに他ならない。通常のビッグバンド編成でありなが出ているサウンドはオーケストラっぽいのだ。つまりオーケストレーションがビッグバンドのベイシックなアレンジ法というよりは弦楽器と木管楽器との室内楽に近い手法をとっているような印象だ。それは彼が弦楽器奏者だからなのかもしれない。
それがビッグバンドという使い古された固定の編成の可能性を広げるここにもなっているような気がする。だから面白いし興味深い。

またドラムキットが支配していないという点も大きく起因している。曲も6/8拍子が非常に多くポリリズム的なリズムの中での管楽器のアプローチも個性的だ。
和声的にもあまりジャズっぽくないもののテンションコードを多分に含んでいる。場合によってはシリアスなサウンドになってしまいそうなボイシングにも関わらず難しく聴こえず、神経質にはならず明るくて開放的なサウンドになっているのはOmarを含めたリズムセクションがアフロキューバンで、ジャキスがブラジリアンであることが大いに関係していると思う。





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2010年03月01日

Dennis Rollins

彼から今日メールが届いた。

今、自分が最も注目しているUKのトロンボーン。先日MaceoParkerバンドの一員として来日していることで証明しているように非常にHipでFunkyなプレイヤーで、彼のソロアルバムを聴く感じだと非常にスキルも高くアイディアも豊富でアレンジも秀逸。そんな彼の演奏を一度、目の前で見てみたいと常日頃思っていたものの、今回の来日でもスケジュールが合わず見ることが出来なかった。

先日のSolidBrassの公演で名古屋ブルーノートのスタッフとたまたまMaceoの話になり、そこのトロンボーン吹きに興味があることを話したら、そのスタッフさんが思い出したように、Dennisが僕と連絡を取りたがっているということを僕に告げた。Dennisは僕のことを知ってくれているようで、早速Dennisに私の連絡先を伝えていただくことをスタッフさんに託したら、今日メールが本人から着たということだ。

去年、たまたま30代前半のプロのジャズトロンボーン吹き達に、Dennisのことを知っているか尋ねてみたら、誰も彼のことを知らなかった。15年前、プロのプレイヤーは誰もNils Landgrenのことを知らなかったのと同じだ。

プロであってもジャズトロンボーン吹きは昔活躍したプレイヤーには関心あるが、リアルタイムのプレイヤーにはあまり興味がないのか?

Dennisと同じUK出身のMarkNightingaleを知っている同業者は居るが、それはMarkのサウンドカラーが極めて教材的なものであるからかも知れない。(実際、彼は優れた教則本を沢山出版している。)Dennisはそういった意味でかなりJazzというカテゴリーに納まらない今時のサウンドカラーを持っている。それはそれぞれの共演者を見れば分かりやすいかも知れない。

とにかくお勧めのアーティストです。

Dennis Rollins



これでリアルに繋がったので、彼のメッセージにもあるように今後何らかのカタチでコラボをする予定。




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2010年02月23日

Only Everything/David Sanborn

前作「Here and Gone」の延長上とも言える原点回帰ともとれる内容のもの。
昨年12月にSanbornが楽屋でこのアルバムについて熱く語ってくれた。
前作と大きく異なるのは全編がSax,Organ,Drsという変則的なトリオで曲によってホーンが入るというもの。つまり通常のサウンドの要であるBassを排除し、Organがベースパートも受け持っている。
今回のホーンアレンジも前作同様、Gil Goldsteinが担当しているが、前作よりもよりシンプルなボイシングでトータルのサウンドカラーを決定づけるようなアレンジではない。それはSanborn自体がよりシンプルな、プリミティブな方向へと更にシフトチェンジしていることなのか?
基本的にSanbornはどんなフォーマットであっても、さほどアプローチは変えないが、最も彼が一番やりやすいということで今回の編成になったのだろう。
ホーンプレイヤーにとって同じステージに他のホーンプレイヤーが居ることはスゴく刺激になる。だからこそ最近のレコーディングでホーンを多用したりライブでホーンを配したりしたのだとも思える。

とにかく、昔のアルバムよりもより一層あまり作り込むこと無く剥き身の姿の彼を聴くことが出来る。






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2010年01月13日

Randy Brecker/The Music of Wlodek Pawlik

Pawlikはポーランドのジャズピアニスト。Randyとは94年に初共演。Michaelの骨髄ドナーを探している時に積極的に協力していたようで、そんな背景がこのアルバムにはあるようだ。
アルバム全曲Pawlikのオリジナル曲だが、もはや単なるジャズピアニストの域を超えているすばらしい作曲家。素晴らしいの一言に尽きる。オーケストレーションもクラシック音楽をきちんと昇華しているということがよくわかる。
非常にいい意味でヨーロピアンなサウンドだ。
そこに何の違和感もなくRandyが縦横無尽に色んな表情な演奏をしている。
Randyの音楽性の幅の広さの一つの証明だ。彼は、P-funk,FrankZappaのようなものから、こういったクラシカルなサウンドのフィールドまで見事に自分の音楽として表現することの出来る希有なプレイヤーだ。
それは彼の音楽性の高さ、柔軟さもさることながら、スキルの高い演奏に裏付けされている。

このアルバムの「Magic Seven」という大曲はさながらRandyが作るようなタイプの曲。

それにしてもMichaelが亡くなった後のRandyの活動には目を見張るものがある。世界中を駆け回りコンサート、レコーディングをしている。
それはMichaelの分まで頑張っているようにも見えるし、1歳になったばかりの愛娘の為に頑張っているのだとも見える。いずれにしても実際、最近の彼に会うと生命力溢れ、こちらもいいエネルギーをもらうことが出来る。

とにかく自分にとって常に目の離せないアーティストだ。



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2010年01月12日

Radames Gnatali/ Meu Amigo

イタリア系の作編曲家。クラシックとジャンルを隔たりなく関わった。
ある意味、自分の目指すところなのかも知れないと思った。
彼はアントニオカルロスジョビンのデビューに深く関わり、ジョビンに進言しチャンスを作った。
このアルバムはかなりクラシック音楽的な様相ではあるが、要所要所にサンバカンソンやジャズっぽさが鏤められていて品のいいサウンドになってる。
私の好みの1枚。





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2010年01月11日

Chuck Owen & the Jazz Surge 「The Comet's Tail: Performing the Compositions of Michael Brecker

マイケル・ブレッカーの生前に企画された南フロリダ大学ジャズ作曲センター主催のブレッカーのオリジナル曲を題材にしたアレンジ・コンテストから端を発したアルバム。なので当然マイケルは参加していないが彼にゆかりのある人たちが参加している。2009年

Chuck Owen(Arranger, Director) , Randy Brecker(Trumpet), Gil Goldstein(Arranger), Fred Stride(Arranger), Vince Mendozaa(Arranger),David Liebman(Sax), Mike Stern(Guitar), Rob Thomas(Violin), Joe Lovano(Sax), Mike Mainieri(Vibe), Adam Nussbaum (Drums),etc.

基本的にはビッグバンド編成にソリストが入ったりする形だが、極めてコンテンポラリーなサウンドデザインなので非常に豊かなサウンド。
かなり難しいことをアレンジで表現しているもののいわゆるボストンぽい学術っぽさよりももっと情緒が全面に出ていると思う。

いわゆる「売れる」タイプの作品かといえ「No」だと思うが、こういうものをきちんとカタチにしないといけないと常日頃考える私にとっては宝物の作品。

全曲、マイケルの作曲、もしくは演奏した曲で構成されるが、その印象よりもアレンジ、演奏の良さが際立って聴こえた。



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2009年10月12日

Ivan Lins&The Metropole Orchestra

IvanLinsの新作。
以前、ここに書いたメトロポールオーケストラをバックにIvanの超有名曲目白押しで、尚かつここでもよく書いている僕の好きな編曲家、VinceMendozaの全編アレンジ。
これで悪いわけなく、当然素晴らしいサウンド。
今年3月にIvanとこのアルバムについての会話の中に、実にリーズナブルな予算で制作出来たということを彼は言っていて、今後の原盤制作のヒントがそこにあるような気がする。



とにかく、文句なく素晴らしいです!!!!!

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2009年05月26日

Music for String Quartet and Orchestra /Bob Brookmeyer

Bob Brookmeyerの作編曲、指揮によるストリングスカルテットをフューチャーしたメトロポールオーケストラの演奏が収められた作品。

Bob Brookmeyerはジャズバルブトロンボーンの名手としては周知の事実だが、作編曲の才能はそれを凌ぐと私は常日頃思っている。

ここ数年、彼の作編曲による大編成でのレコーディグでのクオリティがそれを証明しているといえよう。

そこで今回特筆すべきひとつはメトロポールオーケストラの演奏の素晴らしさ。

メトロポールオーケストラはオランダの世界でも比類なきプロによるポップスとジャズを演奏するオーケストラ。

いわゆるフルストリングセクション、木管、ジャズビッグバンドを含む大編成なポップスオーケストラ。

海外のミュージシャンとのコラボレーションも非常に多く、共演者として、エルビスコステロ、ディジーガレスピー、ハービーハンコック、チャカカーン、サラボーン、ディオンヌワーウィックと挙げたらキリがないほど色んなジャンルのアーティストがいる。

近年、個人的に感動したのはパットメセニーとの競演。

全編、パットメセニーグループでのレパートリーをこのオーケストラ用にアレンジして
行われたコンサート。

本来の彼のグループでの印象を損ねる事なく、初めからこのオーケストラとのジョイントの為に作曲したのではないかと疑うくらいアレンジと演奏がマッチしている。

それはアレンジャーの存在が非常に大きい。

毎回、コンセプトによって様々なアレンジャーを招いているが、ヴィンスメンドーサやマリアシュナイダーなどはここの常連だ。

先日、イヴァンリンスが聴かせてくれたのも、まだ未発表のメトロポールオーケストラとの競演で全編、イヴァンのオリジナルでアレンジは確かマリアシュナイダーだと記憶する。

イヴァンのその作品も素晴らしかった!!

当然そこでイヴァンとこのオーケストラやアレンジ、そしてレコーディングの成り立ちについての話になるが、とにかくプロダクトが素晴らしいようだ。

この編成でポップスやジャズを演奏するような催しはないわけではないが、レギュラーでパーマネントなこういうようなオーケストラは残念ながら日本にはないので、常に寄せ集めのメンバーによる演奏になる。

ポップスでフルオーケストラを使いたい場合、基本はクラシックオーケストラがいて、リード(この場合、首席とは言わない。)トランペットやリードトロンボーン、それにサックスセクション、リズムセクションをスタジオミュージシャンでさす(投入する)ことが殆どだ。

これは仕方のないことだと思うし、それはそれの良さはあるはずだがパーマネントであるが為の「重さ」や「安定感」はなかなかこのメトロポールオーケストラのようには出ない。


これではクラシックオーケストラの個々の本来のオーケストラの個性は出ないのも無理はない。

肝心の本作であるが、素晴らしいです。

フルオーケストラとストリングスカルテットの対比も素晴らしく、Bob Brookmeyerの書くジャジーな部分もクラシカルなスコアも見事にオーケストラは違和感なく表現している。

間違いなく、メトロポールオーケストラの一連の作品は全てクリエイティビティが高く、後世まで残るものだと思う。







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2009年03月28日

My One and Only Thrill/Melody Gardot

色んな意味でやられた。

ドキッとした。

唄にも自作の曲にも、そして彼女の弾くピアノにも。

苦難な道を通ってきた者だけの特権か?


彼女はまだ23歳。




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2009年01月11日

Hearts and Numbers/Don Grolnick featuring Michael Brecker

Hearts and Numbers

85年録音のドン・グロルニックの初ソロアルバム。

彼は名プロデューサーでもありLinda Ronstadt, James Taylor, Roberta Flack, Carly Simon, Bette Midlerらポップミュージシャンのサポートなどもしてきた。

発売当初、僕は彼ではなくここでフューチャーリングされているマイケルの演奏が聴きたくて、このアルバムを手に入れた。

実はまだ正式にソロアルバムをリリースしていなかったマイケルの裏リーダーアルバムという意識も巷ではあった。


このアルバムは、ウィンダムヒルというレーベルから出ているが、当時このレーベルは静かで聴き心地のよいアルバムを多くリリースするというイメージがあり、実際、当時のアルバムの印象はそれと大きく違わなかった。

参加メンバーは彼の仲間たち、

Bass:Will Lee
Marcus Miller
Guitar:Hiram Bullock
Jeff Mironov
Drums:Steve Jordan
Peter Erskine

という強力な面々であるにも関わらず「静」「体温の低い」という印象しか残らなかった。

しかし、23年経った今、このアルバムを聴いてかなり印象が異なった。


確かに、曲調こそ静かなれど、この内省的なものに秘められた「熱さ」を強く感じた。

内省的であるという側面でも、もう一つのマイケルの裏ソロアルバムと称されるクラウズオガーマンの「City Scape」よりもマイケルのそれを感じ、よりデリケートなアルバムだと思った。

とにかくドンが書く曲がそれも素晴らしい。

メロディは一度聴けば口ずさめるほど明瞭、シンプルで、その裏に流れるコードは複雑で繊細だ。

彼の演奏面ではマイケルほど全面にこのアルバムでは出てこないが、このアルバムのサウンド全てがドンのサウンドだ。

そして作曲者、プロデューサーならではの、その曲において最もハマりのいいフレーズをいいポイントで演奏する。


彼の作曲したものはよくコンテンポラリーなジャズフュージョンにおいて他のアーティストが取り上げている。(例えばNothing Personalとか)

実はこのアルバムは激しい曲調の曲も収録されているが、それらの曲がアルバムの冒頭ではなく中盤に置かれているのでアルバムの印象がウィンダムヒル的なアプローチになっている。

これはメーカーの意図なのか、彼の意図なのかはわからないが、後にリシースする彼のソロアルバムの「Weaver of Dreams」はブルーノートから、「Medianoche」はワーナーからリリースされているが、前者は硬質なジャズサウンド、後者はラテンといったメーカーの指向にそぐう形のサウンドを提供している。

これは彼自身が有能なプロデューサーだったという一つの証拠かもしれない。


彼は1996年に48歳という若さでこの世を去ることになる。

今の自分の年齢よりも3つしか違わないのだと思うと切なくなる。

彼が亡くなる時、彼の周りの仲間たちの落胆ぶりが目を覆いたくなるほどだった。

彼がまだ存命だったならば、アメリカのジャズシーンはもっと違うものになったのかもしれない。

皆に愛される人は、なんでこんなに早く逝ってしまうのか。。。



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2009年01月04日

The Love Connection/Freddie Hubbard

1979年録音。

このアルバムに出会ったのは僕が20歳代前半の頃。

その頃から僕は、アレンジャー、クラウスオガーマンの熱狂的なファンで、彼のアレンジした作品を徹底的にコレクトしていた。

当時はまだCDというメディアもなくLPレコードの時代だった。

これは仕事の合間に楽器を抱えながら都内のあらゆる中古レコード屋さんに毎日のように出向いた中で探した一枚。

もう既に新譜ではなく、中古で確か500円前後で買った記憶がある。

このLPレコード盤に針を落としては興奮したことを今のことのように憶えている。

時代はLPからCDに移り、このアルバムは一向にCDとして再発されることなく自分の記憶の中から消えていった。

奇しくも年末に彼の訃報を聞き、知人にこのアルバムのことを聞くと最近CD化されたとのこと。

速攻、CDを購入。

素晴らしい、なにもかもが。

当時はオガーマンのアレンジにしか興味がいかなかったが、今聞くとフレディの色気のあるフレージング、サイドメンの演奏の素晴らしさが際立つ。

79年という自分にとって大好物なミュージックシーンの香りがプンプン漂う。


リズムセクションのサウンドがざらついているのだ。

それはフランクザッパバンドに在籍していたチェスタートンプソンのドラムがよりそうさせているのだと思う。

過度なプラグインの弊害にも侵されず、演奏のねじれがそのままここには記録されている。

オガーマンのストリングスはいつものように優雅だし、チックコリアはまさに「Return to forever」のアナログシンセの音だし、アコースティックピアノは非常にジェントルで若々しく清い。

これらの曲全てに映像が思い浮かぶ。

それほどドラマチックだ。

今時、収録曲が5曲しかなく、それぞれが7〜10分の長尺なのに全く飽きない曲、演奏なんて信じられない。

フレディはジャズトランペット奏者として第一人者であることは間違いない。

ただ、その少し前にマイルスがいた為にどうしてもそれが彼の過小評価に繋がったのかもしれない。

VSOPの活動中に、この手のアルバムを作ることは当時のジャズファンから歓迎されなかった節さえある。

しかし、29年後にあらためて聞いてもこんな素晴らしい全方位型のトランペット奏者のアルバムはないと思う。

もちろん、メインストリームでの「Body & Soul」などの彼のリーダーアルバムもこれと同じくらいフェヴァリットなアルバムでもある。





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2008年11月08日

Revolutions/Jim Beard

作編曲家、キードードプレイヤー、プロデューサー、ジムベアードの2008年ソロアルバム。

過去の彼のアルバムに収録された曲をヴィンスメンドーサのアレンジでオーケストラバックで演奏に徹した作品。

彼ほどの実力、キャリアを持つ人が敢えて他人にアレンジを任せるというのはよほど懐が深いか自分の作った曲に対してオリジナリティの面で自信がよほどあるのだろう。

僕はそのどちらもこの作品を聴いて感じた。

以前のアルバムに収録していた時、シンセやサンプルで補っていたいわゆる「弦楽器」「管楽器」の部分が今回は生の楽器に置き換わっているという感じのアレンジで以前のアレンジと大きく変容を遂げていない。

もちろん、サンプルならではの面白さも前者にはあるし、生になることでより深みを増すという点ではどちらのアレンジも素晴らしいと思う。

今回はさほど大胆なアレンジをヴィンスが施さなかったのはどんな理由か知る由はないが、この作品は非常に気持ちがいい。

これと同じ印象を持つのはパットメセニーグループのサウンド。
このグループも小編成であってもかなり荘厳な見事なオーケストレーションが施されている。

なので彼らの作品を生の「弦楽器」「管楽器」に置き換えてもさほど印象派変わらない。


なかなかジムはフロントに出ることは普段なく、どうしても裏方に回る
役回りを好むような印象を受ける。

彼にプロデュースやアレンジのオファーが集中するのもよくわかる。
(ヴィンスもギルゴールトスタインも)

それは素材を最大限にスケールアップさせる術を知っているからだ。

彼らに共通することは近代クラシックを熟知しているというベーシックがありつつ、今時のリズムのフィギアに柔軟性をもっているということかもしれない。

だからこそ、「リッチなオーケストレーション」=「モサっとしている」にならないのだと思う。


ジムの作品は「ポップ」と「狂気」の見事な共存にあると思う。

でもこの「狂気」は人を不快にさせるものでもなく、小手先のこれ見よがしのスキルを振る舞わすものでもない。

このバランス感覚が絶妙だ。

おそらく作為的なものではなく、彼本来持っている気質のような気がする。

益々、彼のバイオに興味が湧いてきた。





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2008年10月12日

Raul De Souza

Raul De Souzaはブラジル人のトロンボーン奏者。

彼の演奏スタイルは独特で、特に通常ジャズトロンボーン奏者が使う音域よりさらにオクターブ下まで使い、音色も暖かい。(それは彼の使っている楽器が太管ということも若干起因している。)

彼は若くして同朋のアイアートモレーラやフローラプリムらとアメリカに渡る。

そこでアメリカのジャズシーンの洗礼を浴び、さまざまなセッションに参加し素晴らしい作品を残した。

そののち、彼はアメリカが馴染めずブラジルへと戻ることになる。

その後、ソロアルバムをリリースすることなく表舞台から退くような印象を持ち、下手をすると日本おろかアメリカへも彼が赴くことがないと僕は思い、リオデジャネイロに行った際に彼の演奏している場末のクラブまで足を運び逢いにいった。

一見して人の良さそうな笑顔が印象的な人で、演奏はトロンボーンの他にフリューゲルホルンやテナーサックスを吹いていてびっくりした。

やはり個人的には彼がトロンボーンを吹いているところが一番感動した。

というように、彼の性格も含めアナログ時代に作ったソロアルバムがCD化されることはなかなか難しい。

そんな中で僕の好きな彼の参加作品をば。


-SERGIO MENDES & BOOSA RIO-

これはセルジオメンデス名義の1964年頃の録音。
ここで特筆すべきことはアントニオカルロスジョビンが全曲アレンジしているということと、フロントが2トロンボーンとテナーサックスという一風変わった編成。
しかもトロンボーンはスーザがバルブトロンボーン、もうひとりがスライドトロンボーン。

スーザはスライドのみならず、バルブの名手でもある。というか、おそらくスタートはバルブだっと思われる。

バルブでの彼のアプローチは非常にBopライクなフレージングで、スライドの時のような土臭さがない。

もう一人のトロンボーン奏者も素晴らしい演奏を繰り広げている。


-Sweet Lucy-

1978年録音の彼のソロアルバム。

ジョージデュークプロデュースということもあり、かなりポップでファンキーなサウンドになっている。

これはリアルタイムでアナログ盤を購入して今でも「超」愛聴盤となっている。

これはCD化されていないのが悔やまれる。

とにかく、このアルバムのジョージデュークのプロデュース能力は素晴らしい。

ファンクとブラジルサウンドがこんなに相性がいいものなのかを目の当たりにした。

それ以降、ジョージデュークのソロアルバムでもスーザのソロを聴くことが出来るし、フローラプリムのアルバム「EVERYDAY EVERYNIGHT / FLORA PURIM」

は絶品。


その後、彼はアメリカのミュージックシーンからは遠のいたが最近ではフランスでフランスのミュージシャンとのコラボのアルバムに参加したり、ボサノバ生誕50周年を記念して作られた「Bossa Eterna」をリリースしたり活動が活発化してきているようだ。
このアルバムはジョアンドナートも参加していて実にほのぼのとしたサウンドになっている。

ドナートは優れた作曲家でもあり、彼の作風はシンプルなメロディでサウンドが軽やかという印象を持っていたが、実際、彼と一緒に演奏する機会があったときの彼のピアノのビートの重さ、深さに驚いた。

スーザという人は、自己アピールが苦手というか好きでないというか、そういうタイプの人だと思った。
アメリカに行ったのもアイアートやフローラに肩を押されて一緒に行ったようだし。

彼に逢った頃、彼はストリートチルドレンの世話をしていると人から聞いた。

そんな人なんです、彼は。

だからああいう深い音を出すんです。



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2008年10月11日

Blauklang/Vince Mendoza

Vince Mendoza2008年作品。

前半がスタジオ、後半がライブ音源。

編成はgt,tpx1,reedsx3,french hornx1,tubax1,bass,drs,vib,strings quartet

非常に興味深い編成。

特にピアノレスでそのかわりにヴィブラホーンが入っているのが特徴的。

まだまだこういった編成はポピュラーにならないが、とても興味深い編成で自分も比較的昔からこちらのほうにベクトルが向いている。

それはギルエバンスが好きだから当たり前といえば当たり前か?

ビッグバンドのような普通の「足し算」の発想でないところが編曲家として新たなサウンドの可能性を感じる。

この作品でもギルの作品を取り上げている。

彼にしてもギルゴールドスタインにしても僕にしてもギルエバンスに多大な影響を受けているのはサウンドを聞けば一目瞭然。

ギルエバンスは生涯、ビジネス面においては不遇だったがヴィンスやギルゴールドスタインは比較的彼らのキャリアの早い時期からビッグビズネスのチャンスを掴んだ。

彼らの凄いところは、いわゆる伝統的なこのと新しいものが常に混在していることだ。

肝心の、このアルバムの内容は、とにかくすばらしいの一言に尽きる。

この編成で十分シンフォニックなアプローチも出来るし、コンボのようなフレキシビリティに優れたサウンドも出すことにも成功している。

これはスコア以上に演奏者の高いスキルに寄るものが大きいと思う。

このプロジェクトはヨーロッパのレーベル「ACT」の制作によるもので
ミュージシャンもピーターアースキン以外はヨーロッパのプレイヤーなので、サウンド感もヨーロピアンな上品なものも加わっている。

しかし、精神的に疲れているときには聞くのがちょっとしんどいかも。

これと同じような印象を持ったのはビルエバンスやラヴェルだった。

いずれも大好きな音楽家なのに精神的なスタミナのない時、僕は聞けなかった。

これは、彼らの音楽が「引っかかり」が多いからだと思う。

いわゆる「印象派」に属するもの。

あと、フリーっぽいものも疲れている時はしんどい。


いずれにしても本作も素晴らしくて大好きなアルバムでした。

ファンレターメールを彼にしてみようと思いました。



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2008年10月10日

heard THAT / Jeff Lorber

いわゆるスムース系の先駆者であるジェフローバーの2008年作品。

スムース系のほとんどは僕にとって「ヌルい」印象を持つのだが、本家のサウンドは「Sweet」な部分と同じくらい「Bitter」を持ち合わせている。

一言でいうならば「Adult」という感じか。

すべてにおいてバランスがいい。

「打ち込み」と「生」の配分、バランス。

「ボーカル」と「バックトラック」のバランス。

ホーンの配し方も絶妙で、too muchでなく、しかもホーンの印象がちゃんと聞いた後に残る。

ある意味、どのアルバムでも同じようなサウンドなので昔からのサウンド構築法は変わっていないと思われる。

とにかく上質な音楽。




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2008年08月11日

ACROSS THE CRYSTAL SEA / DANILO PEREZ

Danilo Perez(p)のソロアルバム。

全編、クラウス・オガーマンのアレンジ、指揮でオーケストラも加わる。

オガーマンのファンとしては待望のオガーマンサウンド。

個人的にはオガーマンのソロ名義のものより、アーティストのサポートにまわる形のオガーマンが好き。(例えば、ビルエヴァンス、マイケルブレッカー、アントニオカルロスジョビン、マイケルフランクス)


彼特有の低めのフルートアンサンブル、色彩豊かな和声を配したストリングスがふんだんにこのアルバムに散りばめられている。

彼のアレンジは決して主役の邪魔をすることなく、しかし和声を支配している。

もちろん、主役のDANILO PEREZ も素晴らしい演奏をしている。

彼のピアノは優しい。


久々のオガーマン絡みの会心作。


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2008年07月17日

Bringing Back the Funk/Brian Culbertson

メンツ強力過ぎ。

Bringing Back the Funk

~ Brian Culbertson

Brian Culbertson(kb,Trombone, Trumpet,Vocals), Greg Adams(Trumpet), Gerald Albright(Sax), Derrick "D.O.A." Allen (Bass), Michael Bland(Drums), Lenny Castro(Perc), Bootsy Collins(Vocals, Space Bass), Phelps "Catfish" Collins(Guitar), Cora Dunham(Drums), Larry Dunn(kb), Sonny Emory(Drums), Maurice Fitzgerald(Bass), Dan Fornero(Trumpet), Kush Gardner(Trumpet), Rick Gardner(Trumpet), Larry Graham(Bass), Chance Howard(kb,Vocals), Ice Candi(Vocals), Paul Jackson, Jr. (Guitar, Vocals), Ron Jennings(Guitar), Ronnie Laws(T.Sax), Tony Maiden(Guitar, Vocals), Eric Marienthal(Sax), Eddie Miller (kb,vocals), Chris Miskel(Drums), Musiq (Soulchild) (Vocals), Monty Neuble (Kb), David Pack(Vocals), Maceo Parker (A.Sax), Ray Parker, Jr. (Guitar,Vocals), Darlene Perri(Vocals), Lori Perri(Vocals), Sharon Perri(Vocals), Ricky Peterson (Organ,Vocals), Morris Pleasure(Bass), Sheldon Reynolds(Guitar,Vocals), Tom Scott(Sax), Sam Sims (Bass,Vocals), Rhonda Smith(Bass), Sonny Thompson(Guitar), Lee Thornburg(Trumpet), David T. Walker(Guitar), Bobby Ray Watson(Bass),Fred Wesley(Trombone), Maurice White(Producer), Bernie Worrell(kb), Zion Planet 10(Vocals)

EW&FのMaurice Whiteがプロデュースだったり、Bootsy Collinsがいたり
いわゆるP-fUNK,Tower of powerの面々、JB'sのホーンズがいたり、なんじゃこりゃって感じ。

これはアーティスト本人の色ではなく、あくまでもプロデュースワークの勝利といった印象を受ける。

本人のキーボードの演奏は全曲通してスムースな甘い印象を持つが、楽曲ごとの参加メンバーによって見事にメリハリのあるものになっている。

そういった意味で超おススメ。


posted by YM at 17:14| 東京 ☀| レコメンド | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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