〜このアルバムはどんなアルバムですか?
「24歳という若さで無くなったトランペッター、クリフォード・ブラウンが参加しているので有名なジャズのアルバムなんだけど、全体的に演奏がとてもイイんだ。トロンボーン奏者として言うと、この人はジャズトロンボーンの元祖かな。」
〜なるほど。
「それまでは、トロンボーンというと無骨で野性的という印象があったんだけど、メカニカルでサックスみたいなフレーズを吹いている。この人はアレンジャー作曲家としても活躍していて、サウンド全体を聴いて演奏しているんだ。」
〜村田さんと似たスタンスなんですね。何歳頃に聴かれたんですか?
「初めて聴いたのは10代だったと思うけど、その時は“スムース”過ぎて、あんまり好きじゃなかった、自分で本格的に音楽をやるようになってから、だんだんと魅力がわかるようになったんだ。演奏技術として難しいことは特にやっていないんだけど、曲を引き立たせるために効果的なフレーズに溢れている。自分も随分、影響を受けたと思うよ。」
〜そもそも、トロンボーンを手にしたのたきっかけというのは何だったんですか?
「中学生の時に同級生に誘われて、ブラスバンドに入ったのがきっかけといえば、きっかけかな?最初はホルンだったんだけど。だから、いわゆる音楽教育は受けていないんだ。」
〜えー!そうなんですか?バリバリ音大出身な人だと思っていました。
「全然違うよ。ただ僕が育った静岡市というところは、オーケストラやブラスバンドが盛んで、大学時代も地元のユースオーケストラに在籍していた。その経験は、貴重だったと思う。」
〜プロになろうと思ったきっかけは何なんですか?
「高校生の時に観た向井滋春さんのライブかな、やっぱり。」
〜ジャズ・トロンボーンの向井さんですよね。どこでご覧になったんですか?
「地元のラジオ局の主催で浜松グランドホテルでやったんだ。新聞で告知を見て向井さんが誰かもよく知らずに観に行ったんだけど、感動した。トロンボーンでこんなに自由に演奏できるのなら、自分もやりたいと思ったよ。その時に佐山さんがメンバーで来ていて会ってるんだよね。」
〜佐山雅弘さんとは20年後に一緒に同じレーベルをやっているんですものね。運命的ですね。
「向井さんのプレイや音色が本当に好きだったから、学生時代はそっくりに吹いて、喜んでいた。好きだと演奏が似てくるじゃない。だから、プロになってから、向井さんを消化するのが大変だった。自分の音が出せるようになるのには、10年はかかったね。」
〜村田さんは、音楽のジャンルの幅が広いですものね。
「ビ・バップが予定調和に思えて、ジャガタラからフリージャズの方に行ったんだ。渋谷毅オーケストラや坂田明バンドに参加してた。」
〜それも知りませんでした。面白いですね。米米クラブの初期に参加していた人が、渋谷オーケストラのメンバーとは、驚きですね。
「でも、だんだんフリージャズこそ、予定調和な気がしてきて止めてしまった。その後、アレンジの仕事で、ポップスやいろんなジャンルをやるようになって、 J.J.JOHNSONの良さがわかるようになったんだ。本当に良いなと思ったのは、26歳くらいかな。でも、フリージャズを1回通って、外に出た人間だから、僕は一世代下のいわゆる“新主流派”と言われている人たちとは考え方が違うんだ。」
〜そんな村田さんがこのアルバムを勧めるからこそ意義深いんですね。
Volume 2 - Remaster / Miles Davis
これは参加メンバーもJ.J.Johnson "Eminent J.J.Johnson vol2,"と一緒で、同時期に録音されたもの。
posted by YM at 03:43| 東京 ☀|
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