2008年03月26日

Canto / Gino Vannelli

隠れ「ジノ」ファンとしては非常に嬉しい久々のアルバム。今回は、これまた今までのものとは趣の異なったフォーマットでのアルバムだ。オーケストラバックで曲によっては「イタリア語」「スペイン語」で唄っている。一見、ここのところ最近はやりのクラシカルな企画ものと間違われそうだがそんな安直な発想でないことが、この「音」を聴けばすぐ分かる。

今までの作品を通して彼の完璧主義な性格が見て取れるが今回もこの「カンツォーネ」的なサウンド作りにも垣間見えた。曲によって言語を変えたのはその曲の持つメロディがより良く響くためにそうしたのだと思う。蛇足だがボサノバがポルトガル語のもつ響きで成立しているのもそういった理由だと思う。(ボサノバを英語で唄うと、ボサ特有のやわらかい感じがなくなったりする)

今回のアルバムを通してジノとバックオーケストラとの一体化が素晴らしい。それは全曲通して、彼がオーケストラのオーケストレーションをやっているのも非常に大きな一因だと思う。私にとって彼のアルバムが好きな理由はもちろん、彼の素晴らしい歌もあるが、それ以上に入念に構築され、且つともすれば演出過多のドラマティックな展開をもつバックトラック作りが最大の魅力だ。この「大袈裟感」はちょっと比類ないものだと思う。







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The Most Beatiful Melody / Ennio Morricone

以前、ソリッドブラスのTuba奏者、佐藤潔氏を通して武蔵野音楽大学トロンボーン専攻科の学生から、彼らの演奏会で演奏する曲を数曲提供してほしいという依頼があった。
楽曲の内容はすべてこちらにおまかせということだったが、ただ一つの条件はトロンボーン12本のアカペラということだった。
時間的な制限もあり今回はオリジナル曲の書き下ろしではなく既成楽曲のアレンジということにした。

さて、何を今回取り上げよう。自宅にあるCDを片っ端からひっくり返してみて、いろいろ考えたあげく今回は作曲家、編曲家のリーダー作を取り上げることにした。つまりサントラである。私は映画そのものは、からっきし観ないくせに無類のサントラ好きである。自分のアルバムでもヘンリーマンシーニの曲を取り上げたりしている。
いつもアメリカ産のサントラを多く聞いていたのだが、今回はあえてイタリア人の作家を選ぶことにした。
それが「エンニオ・モリコーネ」、彼である。彼はいわゆるマカロニウェスタンものと「ニューシネマパラダイス」でその名を轟かせた。彼のどの曲を今回のコンサートで取り上げようか考え、新しく何枚か彼のアルバムを買ったうちの一枚がこのベスト盤だった。
このアルバムで彼の今までの軌跡をほぼ捉えることができる。

ある意味緻密さやアメリカ的なゴージャス感はないがどの曲も非常にイタリアらしく情熱的である。多分、彼はこれらの楽曲のレコーディングの時に、「なんて俺はこんないい曲書けるんだ!」って盛り上がっていたに違いない。そう、彼にはクールさが似合わない。
これは作、編曲家にとって必要不可欠な要素だと思う。
実際、彼の曲を数曲、編曲して感じたのは非常に彼の曲の作り方には癖がありマンシーニのような計算されたバランス感覚は稀薄だが、「ニューシネマパラダイス」や「金曜日の別荘で」なんかのメロディを聴いた日には泣けてしまいます。

このようにサントラといえども単なる劇中の効果音的な扱いでなくそれそれがちゃんと楽曲として単体で鑑賞に耐えうる高いクオリティをもつ作品は本当にすばらしい。でも、その映画を観たらもっと感動するんだろうなぁ。これからはもう少し映画自体にも興味を持つようにしよう。



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James Brown Funky Good Times〜伝説のJBライブ1983 / James Brown

これは1983年、LA、ビバリーシアターでのライブ盤。世間一般的にはB.Bキングとのジョイントコンサートであるが、私の場合、元祖JB'sバンマス、フレッドウェズリーの参加であった。それを期待して購入したのであるが実際のところ彼のソロは一曲のみでもっともっとソロがきけると思っていたので少々残念であるが、ジェームスブラウンと彼とのツーショットを見たことがなかったのでそれはそれで満足した。実際、フレッドはステージングを見る限りにおいて、ちゃんとリハーサルをせず「飛び入り状態」だったと察せられる。それにしてもここでのJB'sのグルーブは素晴らしい。個人披露ではなくあくまでJBの好サポートに徹している。

それにしても50歳とは思えぬ華麗なステージングで観客を魅了している。ダンスマイクスタンドを使ったパフォーマンス(いわゆる昔、矢沢永吉、西城秀樹がやっていたソレ)、マタ割りなどカラダの柔軟さ、リズム感の良さを見せつけられる。それ以上に驚かされるのは、歌唱力の素晴らしさだ。これほど踊っていながら息を切らすことなく声が震えることなく真っ直ぐな音程でバラードから激しい曲まで実に表情豊かに唄い切っている。

これはすべてのライブミュージシャンのお手本となるものだろう。
ライブ中盤に客席にいたマイケルジャクソンをステージにあげてダンスさせたりできるのも、たとえ仕込みであっても、そんなことができるのは彼くらいだろう。ジャクソンファイブ時代からJBに憧れていたマイケルジャクソンの嬉しそうな表情はこちらから見ても微笑ましい。


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VOICE IN THE WIND 〜Best Of YOSHIDA MINAKO / 吉田美奈子

デビューアルバムから最近のアルバムまでの中から、厳選された曲のカバーを集めたアルバム。とはいってもいわゆる昔の音源をそのまま収録したのではなくすべて新録されたものである。

今回、全曲アレンジと演奏を担当させてもらった。このアルバムで特出していることはすべて本人の声と20人の管楽器のみによるレコーディングということ。つまり息を使って音を出し、個々が単音しか出ない楽器(ある意味では美奈子さんの声もそうだといえる)のみの編成。なのだが、このコンセプトでは、楽曲がスローテンポであれば比較的、アレンジや演奏面で苦労することはないのだけれど、いわゆる「Funk」ものなどのビートを強調していた楽曲をこの編成でアレンジ、演奏するのは至難の技だった。とにかく透明度、純度の高い音色を求めた結果、クラシック界の中堅〜若手のプレイヤーに参加してもらった。カバー楽曲をリアレンジするに至り、オリジナルアレンジが染み付いている自分にとって、あらたなアレンジをするのは大変だったが、いったん歌のメロディだけを抽出し、この歌しかない状態で管楽器でデコレイトしていったことによってオリジナルアレンジとはまた違った感じになった。

今回のレコーディングを通して、この管楽器だけのアンサンブルの可能性を再認識したとともに、美奈子さんがベルベットのような管楽器アンサンブルの上で自由に歌う場面もあれば、アンサンブルと完全に同化して管楽器とまるで区別がつかなくなるような瞬間があり、「声」も管楽器と同じように出す「息」で空気が振動しているということを再認識した。
「吉田美奈子」恐るべし。




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新しき日本語ロックの道と光 / サンボマスター

初めて彼らの音楽を聞いて感じたこと、それは「じゃがたら」と近いDNAを持っていると思ったこと。
江戸アケミの書く詩は、淡々としていてイデオロギーを持ちつつも説教臭くなくて強制的でないということ。
サンボマスターのボーカル山口君の書く詩もそうだった。


「そのぬくもりに用がある」
「今 言葉にできることのすべては 僕達にとって意味を成さないものになって
 仮に本当に 光が射すのならば 僕達はすぐにでも苦笑いの日々を捨ててやる」
「言葉の向こう側 あなたといこうかなそれでも儚さは あなたと知ろうかな」

もしも彼らが認知されない世の中だとしたら、それはもう「おしまい」なのかもしれない。




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J.J.'s Broadway / J.J. Johnson

問答無用、ジャズトロンボーンの父、J.J.ジョンソンの1963年のアルバム。
タイトル通り全編ブロードウェイで使われた曲で構成されたコンセプチャルなセッショ
ン。
今から15年程前、私は渋谷毅さん、坂田明さん、片山広明さん、原田依幸さん、石渡明広さん、千野秀一さん、篠田昌己さん達、当時「フォーム」にこだわらない前衛的なバンド、セッションに参加していたのだが、この形体で数年演奏しているうちに「フォーム」に対して非常に関心が高まった。つまり、ある一定のルールの中での「自由」を求めるということだ。それまでジャズトロンボーン奏者であるにも関わらず、J.Jに全く関心がなかったのだが、この時期から急速にJ.Jの演奏スタイル、ポリシ−に入り込んでいった。

具体的にどんなところが惹かれたかというと、まず非常に演奏する以前の段階(つまり、作曲、アレンジ、メンバー選択、フレージングの構想)の構築美、クールさ、それに対して演奏は非常にホットという部分。
彼の曲、アレンジ、ソロは非常に練られて作られたもので、ある意味構築美の境地といってもいい。このアルバムは曲によっていくつかのフォーマットで演奏している。J.J+4トロンボーン、J.J+4トロンボーン+bs+drs、J.J+4トロンボーンbs+drs+pf、.J+pf+bs+drsと見事に曲のコンセプトで編成を使い分けている。結果的にアルバムを通して全曲トロンボーンがメインの音楽であっても飽きない。(これとっても大事なことだと思う)4トロンボーンのアンサンブルでも曲によってミュートを使っていたり、ベースもピアノの音使いもかなり具体的に譜面で指示されているのがよくわかる。そういったサウンドをすべて包括してJ.Jサウンドなのだ。

一時期、彼と2トロンボーンのチームを作って活動して、人気を二分していた白人トロンボーン奏者カイウィンディングも今回のようなコンセプチャルなアルバムをたくさんリリースしていたがカイの場合、アレンジは本人ではなく、職業アレンジャー(トロンボーン奏者でない)に委ねられているせいかそのサウンドがカイのサウンドという感じではない。極端な比較をしてしまうとJ.Jが重く、地味なのに対してカイの方は軽くで派手といった感じであろうか。

このアルバムはとにかくどの曲のどの部分においても丁寧なのだ。彼の生前、一度対談させていただいたのだが、彼の語り口、仕草どれをとってもインテリジェンス溢れ、ビジネスライクでない生粋のクリエーターという印象で、彼の演奏、作品すべてにシンクロする。

思い切りJ.Jにはまっていた時代に片っ端からJ.Jのアルバムを収集したのだが、当時(15年程前)はアナログの中古を探しまくるしか手段がなかった。このアルバムも大枚をはたいて仕事で滞在していた大阪にある中古レコード屋で手に入れた。ここ10年ほどトロンボーン奏者のリーダーアルバムは聴かなくなってしまったが、このCDが世界初CD化ということで何となく再び購入して聴いてみてかなり懐かしさを感じつつも未だにサウンドは新しさを感じた。このアルバムから学ぶこと多しである。また「クール」と「ホット」の絶妙なバランスには恐れ入ります。


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ALBERT MANGELSDORFF & NDR Bigband / MUSIC FOR JAZZ ORCHESTRA

アルバート・マンゲルスドルフが2005年7月25日に亡くなった。75年間の生涯だった。
彼はドイツ人のジャズトロンボーン奏者で、活動の初期はディジー・ガレスピー、ジョ
ン・ルイスらと共演をするような比較的スタンダード曲を演奏するプレイヤーだった
のだが、次第に個性的な演奏スタイルでヨーロッパのフリージャズの指針となるよう
な演奏スタイルに移行して行った。

一般的にはベース:ジャコ・パストリアス、ドラムス:アルフォンス・ムザーンとの
トリオ演奏を収めた「トライローグ」というアルバムがジャコファンを含め一番有名
かもしれない。そこでも縦横無尽に扱っている「マルチフォニック奏法」(重音)こ
そが彼がトロンボーン界において確立した奏法。
通常、トロンボーンは音(音程)を一つしか発音しないものであるが、彼はその実音
を出しながら声を出したり、その実音と声が干渉し合うことで生じる倍音に含まれる
音も出してしまう。つまり状況に寄っては3つ同時に音を出してしまうのだ。今となっ
ては、この奏法自体はかなりシステマチックにアナライズされてさほど難しい奏法で
はないのだがこれを確立した功績はきわめて大きい。まだCDがなくアナログレコード
しか無かった時代に「トロンボーンサミット」というタイトルの世界各国のジャズト
ロンボーン4人による演奏を収めたアナログがあり、そのなかで一曲ビルワトラスと
マンゲルスドルフのデュオで演奏している曲があるのだがこれが秀逸で、二人でマル
チフォニックを駆使し4人であたかも演奏しているように聞こえる程立体的な演奏を
繰り広げている。彼のソロアルバムはたくさんリリースしているがその度ごとに独創
的で茂樹的なものを創ってきた。中でも大勢のパーカッションとトロンボーンという
編成のものは面白かった。

フリージャズの権化といわれてはいるものの、実際のところ彼の作曲も演奏もきわめ
てポップなメロディアスである。特殊奏法ではあるが決して難解なものではない。な
のになぜ、彼はフリージャズにカテゴライズされていたのか?
それは彼は決してビバップライクなフレーズやコード(和音)進行を使わなかったか
らだと自分は考える。

また彼の凄いところは単音だけ吹いた時もマルフォニックを使った時もきわめて和声
的に聞こえる演奏を出来たことだと思う。単音楽器を演奏しても「和音」を感じさせ
るプレイヤーはきわめて少ないが彼との共演歴をもつサックス奏者、リー・コニッツ
もその一人だと思う。(彼自身も「デュエッツ」というソロアルバムで単音楽器奏者
達と2人だけで演奏している)マンゲルスドルフのユニットにピアノが参加していな
いのは、自分以外の共演者に和音を支配されたくないという意識があったのだろうか?
 遺作となったこのアルバムはNDRBigbandとの共演で全編彼の作曲、編曲ということ
で彼の音楽観、指向が十二分に発揮されている。ここで彼の豊かな和音感覚、リズム
アプローチのセンスの良さが特に光る。トロンボーン一人のみの演奏でもこのセンス
は同様に感じられる。

ここでの作曲、アレンジはまさに現代の音であり、生涯コンテンポラリーのサウンド
の持ち主だったということが証明されている。
和音、リズムともにヴィンスメンドーサ、マリア・シュナイダー、ボブミンツァー達
のサウンドの共通項を見いだすことが出来る。

ちなみにボブ・ブルックマイヤーというマンゲルスドルフと演奏のスタイルにおいて
対極にあるバルブトロンボーン奏者(つまりバップライクなフレーズを多用していた)
も素晴らしい作曲家、編曲家としてここのところ多くの作品をビッグバンドのフォー
マットでCDを出しているのだが、作風や和音感覚がきわめてこの作品と共通している。
つまり、スタイルが違っていても優れたトロンボーン奏者が作曲、編曲をしていくと
ここに到達するのだろうか?
彼はトロンボーン演奏以外にヨーロッパのフリージャズ界においてコンサートの企画
を含めたフリージャズシーンの普及、オーガナイズに一役を買っていたので彼の残し
た功績はきわめて大きい。



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トライローグ / Albert Mangelsdorff&Jaco Pastorius

2005年7月25日に亡くなったトロンボーン奏者アルバートマンゲルスドルフの最も多くの人に聞いてもらったであろうアルバム。

それは最も脂ののった時期のジャコの参加ということでトロンボーンファンのみならずジャコの動向を見守るジャコファンにとってもこのアルバムはとても貴重な記録だからだ。

このアルバムは1976年ベルリンジャズデイズにおけるライブ盤。この思いもつかないトリオを考案したのはプロデューサー、ヨハヒム ベーレント。このプロジョクトのいきさつはライナーノーツに本人が細かく書いていて非常に興味深い。それにしても単音楽器が3人集まっただけなのに豊かなハーモニーが聞こえるのはすごい。単音楽器奏者(特に管楽器)の中には彼らのように単音しか発音していないのに他の音やハーモニーが聞こえてくるプレイヤーがいる。例えばウェインショーターなどもそうだと思う。
これは彼らの持っている倍音構成の成分によるものなのか、または和声感覚が優れ立体的に演奏しようという意識のものなのかはわからない。とにかく和声的、立体的なサウンドなのだ。

本アルバムではすべてアルバートのオリジナルが演奏されている。すべてがアバンギャルドかといえばそうでもなくM2などはきわめてノーマルなコンテンポラリーな曲をインサイドなアプローチで演奏している。よく聞き込むとわかるが実に細かくアレンジされている部分と全く3人の出たとこ勝負の部分が見事に境目がなく自然に聞こえる。ライナーにも書かれていたが、ここセッションのために数日間毎日6〜7時間リハーサルをしたそうだ。今回収録されている5曲の他に数曲準備していたとしてもせいぜい7、8曲の曲数をこれだけ時間をかけるのは結構珍しいことだと思う。アルバート自身、フリージャズの雄ということですべてが即興(その場のフリーフォーム)なのかと思いがちだがより現場で面白い即興が生まれるような楽曲を準備するという意味ではかなり曲を構築していくタイプだということがわかる。(晩年、ビッグバンドに提供したスコアを見れば明らかにそうであることを再発見できる。)

今回のこの3人が実に音楽性の幅広さ、技量のバランスがとれている。この三角形(トライアングル)がいびつだとこのようなサウンドには絶対ならないであろう。また、この高度な3人だからこそ、沢山の時間を費やし同じ曲を練習しても毎回が新鮮で楽しく飽きること無く出来たのだろう。

とにかくあらゆる意味でお手本となるべきドキュメントだろう。




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檸檬の月 / 小川美潮

ボーカリスト小川美潮さんの1993年のソロアルバム。
美潮さんはチャクラというバンドのボーカリストとしてデビュー。

この「檸檬の月」チャクラでのパートナー、板倉文さん、近藤達郎さんの好サポート
を得て素晴らしいアルバムに仕上がってる。レコーディングメンバーも Ma*To,青山
純さんら Killing Time勢の参加が目立つ。このKilling Timeは板倉さん、清水一登
さん、斎藤ネコさん、メッケンさん、青山純さん、Ma*Toのアバンギャルド且つプロ
グレッシブで個性的なサウンドを持つバンドで、ちょうどこのアルバムが制作される
数年前、ジャガタラの篠田昌巳君を介して Killing Time周りの人たちとの交流があ
り、その流れでこのアルバムで2曲参加することとなった。

とにかく美潮さんの声と板倉さんのアレンジ(音楽観)の溶け具合が素晴らしい。美
潮さんのストレートで伸びのある艶やかな声は誰も真似できないし、板倉さんの作る
メロディ、複雑な和音を一つ一つ大切に紡いでいくセンスは「天才」的だと思う。こ
んなに複雑な転調を繰り返しながらもメロディがポップに仕上がるなんてそうそう出
来ることではない。製作過程をつぶさに見ることは無かったけれど板倉さんはじっく
り時間をかけて作ったと察することが出来る。(というよりもこんなすごいことを短
時間に作られたらこちらが困る。)

特に「SHAMBHALINE 2」でのボイスとアレンジはすごいことになってる。間違いなく、
このあたりのサウンドを僕は影響を受けている。
僭越ながらこの曲と、「Tall Noser」の2曲でトロンボーンソロをしているが「Tall
Noser」のソロは自分自身の歌もののソロワークの中でも片手に入る程気に入ってい
るソロです。

今年になり初めて美潮さんとライブを2回ご一緒した。一回目は板倉さんも参加して
いた。やはり美潮さんと板倉さんのコンビは誰も入る余地のない程の一個のサウンド
を確立している。

一朝一夕ではできない、この揺らがないサウンドを是非、大勢の人たちに聞いてもら
いたい。



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ギル・エヴァンス&テン / Gil Evans

タイトル通り、アレンジャー兼ピアニストと10人のミュージシャンによるレコー
ディングセッション。
ギルエバンスの代表作というと一般的にマイルスデイビスとのコラボレーション
のアルバムが有名だが、個人的にはこの作品が一番気に入っている。

マイルスとのコラボレートは予算を沢山使い、ふんだんに楽器を要したゴージャス感、
派手な感が特徴だが、このギルエバンス&テンはちょっとそれとは趣が違う。
編曲家として自分の出したいサウンドに必要な最小限の人数で挑んだのがこの作
品だと思う。実際、彼らしくトラディショナルなビッグバンド編成ではなく、フ
レンチホルンやバスーンが入っている。この人数にして、このリッチなサウンド。
これこそギルエバンスの見事なサウンドデザイン。
どの楽器をリードに持ってくるかによって大きくサウンドの印象が変わるわけで、
ホルンがリードになった瞬間、シンフォニックな音がするしもちろんトランペッ
トがリードを取ればこの人数でもビッグバンドのサウンドがする。ギルエバンス
は後期になるとシンセサイザーの台頭により、自分の作品、バンドにもシンセサ
イザーを導入することになるが、結果的にサウンドデザインをシンセサイザー奏
者に委ねてしまうことになる。

そういった意味で最もギルエバンスのペン(手法)がよくわかる作品だと思う。


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